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荀子 巻第七王覇篇第十一 4
国なる者はこれを巨用すれば則ち大、これを小用すれば則小なり。大を綦(極)むれば而ち王たり、小を綦むれば而ち亡び、小と巨を分して流るる者は存せん。
拙訳です。
『国というものを巨用すれば大きくなり、小用すれば小さくなり、極大となれば王であり、極小となれば滅びてしまい、小と巨の半ばを流れる国はその存在を保つ。』
「巨用」と「小用」がピンときませんが、この後それぞれ説明がされています。
これを巨用するとは義を先きにして利を後にし、安親疏を■1みず貴賤を■1みず唯誠能をのみ求む、夫れ是れを巨用するという謂うなり。これを小用するとは利を先にして義を後にし、安ち是非を■1みず曲直を治めず唯便辟の己に親しみ比る者をのみ用う、夫れ是れを小用するという謂うなり。
■1→血偏に阝おおざと「血阝」
疏→②うとむ。うとい。親しくない。
誠→②まことに。本当に。
是非→①是と非。正しいことと正しくないこと。また、正しいかどうかということ。
曲直→②不正なことと正しいこと。正邪。
便辟→人のきらうことを避けてこびること。 また、その人。
拙訳です。
『「国を巨用する」というのは、義を優先して利を後回しにし、それは親しいか親しくないかを判断基準にせず貴賤を判断基準にせず唯本当に能力がある人を求める、このことを巨用するという。「国を小用する」というのは、利を優先して義を後回しにして、正しいかどうかということを判断基準にせず正邪を統御せず人の嫌うことを避けてただ媚びおもねる者だけを用いる、このことを小用するという。』
これを巨用するとは彼の若く、これを小用するは比くの若く、小と巨と分して流るるとは亦た一いは彼の若く一いは比くの若くするなり。故に粋(全)たらば王たり駮たらば覇たり一も無ければ亡ぶ、と曰えるは此れを謂うなり。
駮→①まだら。ぶち。
拙訳です。
『巨用するとは前者の通りであり、小用するというのは後者の通りであり、小と巨と半ばにして流れるというのは、ある時は前者のようにある時は後者のように対応することである。純粋にすべてが巨であれば王者であり、巨と小がまだらであれば覇者であり、巨が一つも無ければ亡ぶ、というのはこのことを言うのである。』
今回は、巨用『義を優先し利を後に、親疏貴賤を顧慮せずに有能者を用いる。』ことが王者につながるという話でした。
どうしても利益・損得に目が行ってしまいがちですし、親しい人を優先してあげたくなります。常に冷静に、義として成り立つかを第一の判断基準にして、有能であることだけを基準に人を配し対応していく、実践は難しいですが積み重ねていくしかないですね。日々是精進。