使いたくなる書体は誰が創ってくれるのだろう
タイプフェイスに関わるようになって、既に四十年近くになる。
自らのグラフィックデザインで、若山牧水の短歌を組版する必要があったことが、その切っ掛けである。ところが、既存のタイプフェイスに納得するものがなかった。
日本の組版で使われる文字の約七割は仮名、それも大部分は平仮名で、短歌ならばなおさらである。写植時代の漢字には、相当な完成度を持つものがあり、字種も画数も多く、デザインの可能性も少なかった。しかし、仮名には不満も可能性もあった。
そこで、着手したのが、数年後に、バリ