ワイルドサイドを行け #4(最終回)
みなさん、おわかりでせうか?
つまり、かっこわるいダサいヤツというのは、かっこつけしないヤツのことなのです。かっこつけないヤツがかっこよく見えるわけがない。
たまに
「おれはかっこなんて気にしない」
なんてかっこつけているメタ認知のメの字すら持ち合わせていないB層的な可燃ゴミがいますが、かっこつける努力もしないのに「天然かっこいいヤツ」なんているはずがありません。
もしいたら、おまえは天才か天然か、いやおまえこそがほんとのナルシストのナルナルくんだと諭しつつブッ飛ばした方がいい。
それから
「おれは別にかっこよくなくていい」
なんて言ってかっこつけている不燃ゴミがいますが、これも〆た方がよろしい。社会人失格です。
婦女子に於てきれいになる努力、可愛くなる努力を放棄することと同じく、男児たるものきっちりかっこよくなる努力をせずんばあらんや、です。「かっこよくなくていい」なんて偽善者並みの下等な考えです。
あるいは、自己陶酔、自己満足、よくそう言ってあざ笑う粗大ゴミがいますが、
「トライすらできないやつが、やっている人間に何を言えるっていうんだい?」(クラッシュのジョー・ストラマーの言葉ね)、
「自分を直視するより他人を批判することの方が簡単だ」(ビートルズのジョージ・ハリスンの言葉ね)。
「俺って冷めているんだよね」
「かっこなんてかんけーねえし」
などとうそぶく方々ほど、かっこつけのナルシストはいません。こういう方々こそナルキッソスそのものであり、神話レベルの厨二病です。そしてこの方々の一番のイタさは、そういう自分に無自覚であるという点です。
ロックは、自覚的にかっこよくあろうと努力するときの有効な手段の一つであり、ナチュラルに酔うための最も始原的な形の一つです。
人生において、かっこつけることと酔うこと(酒などの精製されたドラッグにではないよ)を忘れたらば、もうそれはただの社畜、天然AI、入力待ちの歯車、つまり意思と意志を持たない、人の形をしたサムシングになる以外ないでしょう。
こういう方々が民主主義を衆愚政治へと腐らせていくんです。攻殻機動隊における「ゴーストなき人形」と同じです。やっぱ「俺のゴーストがささやくのさ」ぐらい言える毎日じゃないとね、つまんないでしょ?
イキがって虚勢張ってかっこつけて、ビビったりしくじったりかっこつかなかったりして、初めて人様の痛み、傷みってえもんもわかるんじゃあありゃしやせんかね?
だからみなさん。──だからみんなに聞きたいことがあるんだ。みんなに聞いておきたいことがあるんだ。
持ってるかい?
大人になれない未熟さ、
焦燥、
あきらめることへの抵抗、
知らないものを見に行きたくなる衝動、
変わらないものにしがみつこうとすることへの嫌悪、
退屈さへの恐怖、
当たり前を疑う目、
だれにも理解してもらえない自分だけのいらだち、
無駄や無意味やまわり道を大切にできる魂、
持っているかい?
高校を卒業しても、大人になっても、年老いても、ワイルド・サイドを行け。そうやって──
そうやってきみが少しずつこじ開ける未来は、きっと絶景さ。
※「こじ開ける未来は絶景さ」
GLIM SPANKY「ワイルド・サイドを行け」の一節。因みににこの歌はルー・リードの「Walk on the Wild Side」へのオマージュであると思われる。