この素晴らしき世界#3
そしたらいつだったか、夕方のニュースの特集で奥野敦士さんが車いす姿で病室でルイ・アームストロングの「What a Wonderful World」を苦しそうに、そして楽しそうに、歌う姿が流れました。不意のことだったので泣いてしまいました。
インタビューで奥野敦士さんは、胸から下が麻痺していて腹筋に力が入らないので歌どころか声を出すこともなかなかできないと言っていました。
奥野敦士さんは私の ほんの少し上で、ほぼ同世代です。
10代で群馬から上京して、
20代でバンドでそれなりに当たり、メンバーといざこざがあって解散して、
30代にはソロや役者として活動して、
40代で郷里に帰り、事故で半身不随になり、治らないと分かっていながらリハビリで闘い続けた奥野敦士さんが、「恐い」とつぶやいた後、ゼェーハァー喘ぎながら絞り出すように歌った歌が、「What a Wonderful World」だなんて。
Yes, I think to myself,
what a wonderful world
そうさ、俺はひとり思うんだ、
なんてすばらしい世界なんだ
50代、奥野敦士さんはパラリンピックの閉会式で、苦しそうに、そして倖せそうに、歌っていました。
つづく
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