1/26 合併号【Project KGSDGs Vol.102 】& 【童夢 Arts沼 #27 】 コロナ × 部活動 バンド × 文藝部#7
〈1〉コロナ禍 × 文化部部活動#1〜3
〈2〉日本の強みはやっぱりこれ#1〜9
〈3〉新しい仕事のスタイルと社会構造について
①パートナーシップ型・プロジェクト解決型が意味するものは?
②ボリュームゾーンの崩壊
③未来の学校はたぶんこうなるから今から準備しておかないとたぶん生き残れない要件
〈4〉未来人たちについて(たぶんこんな社会になるのかな)
〈2〉日本の強みはやっぱりこれ#4
バブル崩壊後、お小遣いが少ししかない女子の一部は、1つには援助交際という形で自分を大安売りしはじめました。ホームビデオ、ホームカメラの普及も相俟って(あいまって)、素人の無名の女性たちがアダルトものに出始め一般化したのもバブル崩壊後です。
援助交際は道徳的な側面ばかりが論じられて、若者の倫理観の崩壊、道徳観の崩壊として位置づけられ、一時「道徳授業復活論」へと短絡しました。でも、援助交際はそもそもその名が示す通り、経済行為です。貧困国の最も現実的な労働手段であり「常識」です。ですから倫理道徳面ばかりでなく、貧困(日本の場合は特に相対的貧困、貧困意識)からも論じないと根本的に解決できないと思います。
貧困は、飢餓との結びつきだけでなく、少年兵のような少年労働、不当労働の問題とも密接に関係します。お金も何も不自由することない少女が売春行為をするのは言わば便乗なのであって、少女売春の中核、本質は家庭崩壊が原因で居場所が失われ物理的・経済的に困窮している少女たちです。破綻した経済環境の中で、「精神だけ高潔であれ」「自傷するな」というのは、「世間知らず」な何もわかっていない大人の言いぶんです。また、「愛が足りない」と、愛を与え合う関係づくりができていない大人が言うのは傲慢です。後進国にばかり理想を押しつけていたMDGsのころの先進国のエゴと同じです。物質的豊かさが精神的貧困を招くという論理を取り違えているか、理解していないからこうした精神至上主義に陥るのです。物理的な環境と、過不足のないお金を得れば、ニンフォマニア的な傾向の人でない限り、こうした行為は継続的におこなったりしません。
その証拠に、日本が貧しくなってこのような行為が一般化する一方、生活はできる程度に、でも贅沢はできなくなったという大部分の女子たちは、シャネルやプラダを買わずに、例えば「デコクロ」「リメクロ」「つけクロ」と言われた、ユニクロの安い無地のTシャツやスカートを買って、刺繍を施したりデコレートして愛ではじめました。
また、新宿や銀座のイヴ・サンローランやティファニーの代わりに、下北沢や恵比寿の雑貨屋でビーズや金具を買ってネックレスを作り、愛(め)でました。この「愛でる文化」は、後に「かわいい文化」として結晶化し、今でも世界を席巻し続けています。
女子ばかりではありません。かつて「親衛隊」と呼ばれた、アイドルの熱狂的なファンたちは、フィルムコンサートと称して、公園に発電機とテレビ(もちろん重くてかさばるブラウン管)とビデオデッキを持ち込み、アイドルが歌うビデオを流し、ブラウン管の向こう側のアイドルを愛でました。現代の無観客オンラインライブの原型です。そして彼らはヲタ芸を確立しました。
あるいは、架空の世界でしかなかったはずのアニメや漫画の世界で遊んでいた若者たちの一部は、そのユートピアを、この殺伐とした現実世界に再現しようと手作りで衣装を作り、自ら着て、集い、互いに愛で合いました。コスプレというジャンルを完成させたのです。