【妖珈琲物語】第7話「珈琲古典インク・開発」
【妖珈琲物語】
おは妖ございます。妖店長です。
コーヒーが飲めるようになって「半年」で、自家焙煎・販売までたどり着いた「自家成分焙煎 妖珈琲店」店長の珈琲物語を連載しております。
宜しくお願い致します。
2000年頃、幼少期に飲んだインスタントコーヒー(ロブスタ)が苦く、トラウマになりブラックコーヒーを遠ざけて生きてきた妖店長。
2022年11月4日「スタバ リザーブ」のバリスタさん(現役看護師)が淹れて下さったコーヒーが美味しく感動。
ドリップセットを即日購入して持ち帰り自分で淹れるも、激不味く撃沈したため、「世界一のバリスタさんを探せば何か情報が得られるだろう」と検索。
⇒第5話では「コーヒーに合う美味しい水」
第6話では「(個人的)理想のコーヒーの淹れ方」を追求しました。
【2023年2月~3月】
「コーヒーの成分」
2023年1月で個人的範囲・個人的理想でのコーヒーの淹れ方が分かったので、コーヒーの研究は終わりにしてまったり雑味の無いコーヒーライフを送ろうと思っていたのですが.…
※当時は自分が焙煎出来るとは、思ってもみませんでした。
「コーヒーを常に飲んでいないと頭痛がする」レベルの友人が複数おり、
コーヒーの成分についても研究を進めることにしました。
※焙煎技術に関わるレベルの成分は、また別の記事で記載予定です。
①カフェイン(アルカロイド)
Q.「コーヒーに含まれている成分」で一番思い当たるのは何でしょうか?
A.「カフェイン」かなぁと思います。
その意味を理解して摂取している方も多いのではないでしょうか。
・焙煎度合いでカフェイン量は変わりません。
・コーヒー10gに対して、カフェインは約100mg含まれます。
※アラビカ種の場合。カネフォラ種はこの2倍以上と言われる。
・成人が1日に対して健康を害さない摂取量は約400mg/日。
※妊婦さんや持病がある方はDr.にご相談下さい。
※「カフェインレスコーヒー」もオススメです。
☆つまり!
焙煎度合い関係なく、1日に400mg≒40g以上摂取すると「カフェイン中毒になるリスクが高まる」ということになります。
職業柄、そういった患者さんが入院してくることもあり「カフェインの過度な摂取」の危険性を考え、妖店長は上記以上に摂取しない/カフェインレスコーヒーを摂取するようにしています。
★以下、カフェインの薬理的作用
・覚醒(中枢神経興奮)作用
・利尿作用
・1950年位までは喘息の治療薬に。
※現在は、テオフィリン等。
★同じアルカロイドを含む内服薬を服用する際は注意してください。
※葛根湯(麻黄を含む漢方)や喘息薬、無水カフェイン含有の風邪薬等。
では、他に特徴的な成分はないのでしょうか?
②クロロゲン酸(ポリフェノール/タンニン)
・浅煎りによく含まれるクロロゲン酸。
焙煎過程の加水分解によってキナ酸とカフェ酸に変化します。
化学変化で苦味成分が生まれます。
・コーヒーの苦味の主成分は「カフェイン」ではありません!
☞カフェインレスでもコーヒーは苦い!
①クロロゲン酸ラクトン類(CQL)
②ビニルカテコール・オリゴマー(VCO)
③フルフリルカテコール類が主な苦味成分になります。
※CQLは中煎りから減少。入れ替わりでVCOが増加。
…と色々調べていきました。
「古典インク」
そして、妖店長の万年筆の趣味に繋がってきます。
万年筆のインクには大きく分けて
①古典インク②染料インク③顔料インクに分かれます。
①古典インクが太古の昔から使用されてきたインクで②③が出始めてから段々と生産量が少なくなってしまったインクになります。
※現在は、martさんおひとりで活動されております。
こちらは個人で古典インクを制作・販売されているmart様のツイート。
「古典インクは酸性であり、万年筆を腐食させる」というイメージがあるのを取り払おうと、「古典インクをどんな成分で作れば、万年筆に対して安全性が取れるか」という実験・評価をしたのです。
※酸の観点からの安全性です。
【結果】
・有機酸=クエン酸、タンニン酸、乳酸
・無機酸=塩酸、硫酸
⇒「有機酸」を含有する古典インクであれば、万年筆の耐酸性が取れ「安全(腐食しにくい)」という評価になりました。
妖「なるほど~塩酸と硫酸で作られていない古典インクを買えばペン先が錆びないのね~、えーーっと、有機酸は…タ、タンニン!?コーヒーに入ってるじゃん!!」
このツイートが2023年2月1日のもので、タイミングが良すぎましたね。
妖店長、コーヒーに含まれる「タンニン」を抽出して「古典インク」を作ろうと閃きます!!
「珈琲古典インク」
そして、コーヒーの欠点豆から抽出した「タンニン」から作った
「珈琲古典インク」を2023年2月4日に開発します。
欠点豆の使い方
この時は妖店長、自家焙煎をしていませんでした。
コーヒーを飲むには、お店で豆を買わなくては飲めません。
豆を購入し、某チェーン店の欠点豆の選別をしている時にふと。
妖「欠点豆って使い道ないのかしら…勿体ない…」
コーヒーグラウンズやコーヒーの欠点豆の再利用方法を探します。
①「消臭剤/芳香剤」
⇒コーヒーは多孔性であり臭いを吸ってくれる
②「油汚れの洗浄・消臭」
⇒コーヒーは油を吸い、臭いも吸着する
③「媒染」
⇒お湯とコーヒー粉を使い、コーヒー染め
一番、使われやすいのは①「消臭剤/芳香剤」ではないでしょうか?
毎日気になるレベルの油汚れや染めたいものが出るかというと…ですよね。
「もっと他に使い方はないのかな…」と考えた末、
「古典インクの材料にしてしまえ!」となった訳です。
自家焙煎珈琲店へ交渉
インクを作るとなると、実験を含めて欠点豆が大量に必要になります。
恐れ多くも、世界一のバリスタ粕谷 哲様と梶 真佐巳様のお店「RUDDER COFFEE」へ伺い、材料の交渉へ。
快く承諾頂き、「PHILOCOFFEA」「RUDDER COFFEE」のお名前掲載も許可頂きました。ありがとうございました。
珈琲沼に入ってすぐよりお世話になっていた
「自家焙煎珈琲 Cafeふくろう」様からも快く材料を頂くことができました!
👆なんと、梶 真佐巳様の高校時代の先輩!
文具イベント出展
2023年2月4日に「珈琲古典インク」を開発。
文具イベントである「第2回 文具マーケット」の売り子を以前から依頼されておりました。
開催は2023年2月25日でした。
妖「需要があるかもしれない…」
ブース出展者の ふじい なおみ様に連絡。
いきなり「古典インクを作ったので御頒かちさせてください」と送りまして、かなりびっくりさせてしまいました(笑)
快諾頂けまして、初出展・初売り子として挑戦することとなりました。
実は、副店長の白くまから当初、大反対。
白くま「売り子って聞いてたけど、何してるん?」
妖「け、研究の成果をですね…」
白くま「コーヒーグッズ、美味しい研究、今回のインク開発で1ヶ月分の給料は軽く飛ばしてるよね?趣味超えてるんだよ?」
妖「損得じゃないんだよ創作(物づくり)は!一緒に来たらどう妖!」
まあ、当たり前の感情ですよ。うんうん。
白くまが私とふじいなおみ様両方の売り子を担当しつつ、現場の雰囲気をみるということで出陣!
なんと、出展メインではないためイベント公式パンフレットにも掲載/宣伝もなく、ブースも一番奥だったにも関わらず「完売」致しました。
(勿論、ふじい様のお品/紙モノセットも完売♡)
やはり、お客様から聞かれたのは
「何で?どうして?色が変わるの?」
根拠を追求した病棟看護師にお任せあれ~!とインフォームドコンセント。
質問に対して根拠を持って解答し納得してご購入へとなりました。
妖「どうだった?」白くま「文具沼すげぇ…」
デビューの機会を下さった、ふじい なおみ様 ありがとうございました!!
翌日、「第2回文具マーケット」で出展されていた「かみもと文具」様よりお声がかかります。
翌月、2023年3月26日に「試筆イベント」としてソロイベントをさせて頂きました!
ありがとうございました!!
ラジオ出演
そして、2023年5月21日、本日!
775ライブリーFMの「ラジブン第138回/139回(二週連続)」にて
「珈琲古典インク」を引っ提げて、ゲスト出演致します!!
★毎週日曜日19:30〜20:00/毎週水曜日 11:30〜12:00(再放送)でお送りしています。
※ラジオの聴き方
【追記】
ラジオ出演反応
第138回のTwitterの反応
第139回のTwitterの反応
今日はここまで!
お読み頂き、ありがとうございました。
次回は、妖店長が「焙煎へ向けて動き出すお話」になります。
2023年5月21日
「自家成分焙煎 妖珈琲店」店長:外堀 妖