落ちこぼれパイロットのセルフディフェンス:失敗からのリカバリー方法
トレーニング中のフライトで、なぜかいつもやらない小さなミスを連発してしまう日がありました。いつもは問題なくできるのに、なぜかその日だけうまくいかない。
原因はいろいろと考えられます。
その日の自分の体調、前日の睡眠の質、時間帯、一緒に飛ぶ人の性格、天気、ディストラクションの多さなど。原因はともあれ、大事なのはミスの連鎖を現場で断ち切れるか否かです。
プロでもミスはしている
意外かもしれませんが、プロのパイロットでも日々、いろいろなミスをしています。人間である以上、「パーフェクトなフライト」は絵空事であり、それを求めるのは、安全な運航に対してむしろ不誠実な態度だといえます。
大事なのは、人はミスをする、という現実に立ったうえで、日々、体中で発生しているガン細胞ににらみをきかせるT細胞のように、ミスを早めに拾い、大きく傷口が広がらないうちにリカバリーすることです。パイロットが2名いるのはそのためです。
しかし、このリカバリーに失敗してしまう人もいて、実はかつての私もそういう傾向がありました。今回は、大事な場面でミスってしまったとき、直ちに現場でそれをリカバリーするにはどうすればいいのかを、私自身の経験から考えてみます。
そわそわするキャプテン
ミスを続けると、段々と隣のキャプテンがそわそわしてくるのが分かります。小さなため息をついたり、貧乏ゆすりをしたり、そういう一挙手一投足から、相手の苛立ちが伝わってきます。
エアラインではそわそわするのはキャプテンですが、フライトテストやシミュレータチェックであれば試験官ですし、トレーニングなら教官です。誰かをコクピットでそわそわさせてしまったことは、パイロットなら経験があると思います。(私だけ?)このようなとき、ミスの連鎖を断ち切るにはどうしたらいいでしょうか。
最もやってはいけないことがあります。それは、隣で脚をゆすっている相手の気持ちや、考えを「推し量る」こと、つまり忖度することです。
忖度スパイラル
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