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Pilot's note NZ在住Ashの飛行士論

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NZ在住のパイロットAshによる飛行士論です。パイロットの就職、海外への転職、訓練のこと、海外エアラインの運航の舞台裏などを、主に個人的な経験に基づいて事実と意見を織り交ぜ、毎回…
自分が訓練生だった時に、こんなレポートがあったらよかったな!と思えるような内容を意識しています。自…
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2021年12月の記事一覧

フライトキャンセルの意思決定と情報のハブとしてのキャプテン職

先日、悪天候によるフライトキャンセルをしました。 パイロットは飛ぶのが仕事ですが、実は、飛ばない判断をすることも同じか、それ以上に重要な仕事です。お客さんを無事に目的地に届けたいのは山々ですが、そもそも目的地にたどり着けない可能性が高いのであれば、わざわざ飛んでいって皆の時間や燃料を無駄に燃やすべきではありません。 この、「行けと言われれば行けるけれど、敢えて行かない」を判断するにはどうしたらいいのでしょうか。当日のキャプテンの行動がとても参考になったので紹介してみましょ

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ヒコーキの着陸研究!ATR72

ツイッターでATR72の着陸研究をしました。 上記ツイートを開くと一連のスレッドでATRの着陸の動画を解説しています。要約すると ATR72はピッチ0度でも危険な3点着陸にはならない(ただ、普通は上向きになっている) フレアは、20ftでまずパワー減による沈みを作ることが大事。 沈みを支えた感触で、パワー減のレートを調整する。ここが日によって違うので一番難しい。間違っても20で「カット」してはいけない。カットすると、飛行機1機分の高さから落っこちる。それをピッチ上げで

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失敗から学ぶとはどういうことか

前回に引き続き、ラインチェックでのフェイル考察をお送りします。 人間の脳の仕組みを模した人口知能(AI)の学習の方法は「失敗から学ぶ」だそうです。 人工知能だって壁にぶつかりながら失敗をして、最終的にはどこにもぶつからずに運転できるようになるんですから、人間だって失敗をしながら上手くなっていくしかないわけです。原則がそうなっている以上、失敗を受容できない社会は、学習の機会を奪いながら結果を要求するという矛盾によって、必ずその中にいる人間を壊します。 日本社会は、そういう

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