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発達きょうだいの運命


きょうだい児という言葉をご存知だろうか。


兄弟に障害者がいる場合、それが知的、精神、身体にかかわらず『きょうだい児』と呼ばれるらしいと知ったのは、つい最近のことである。

私はきょうだい児であり当事者である。
※ちなみに、『きょうだい』がひらがな表記の理由は、兄・弟・姉・妹のどれを指しても差し支えない言葉であるためらしい。参考までに。


福祉的就労に良い印象がない理由


兄弟のことはあまり書きたくないことで書いてはいけない事のような気がしていたのだが、色々と最近思うことがあるので綴らせてほしい。特に最近気になるのは障害者雇用についてだ。


一般的な就労しか経験してない方はおそらく一生知らないであろう単語として

〇就労継続支援A型事業所
〇就労継続支援B型事業所
〇特例子会社

といった福祉的就労(障害者雇用の一種)の形である。

ちなみに私が目指しているのはどれでもなく、一般企業で障害者雇用枠を設けている会社である。ただ、特例子会社は大企業の下にある障害者が働きやすいようにつくられた会社なので、働きやすいという噂はよく聞く。


ただし、調べてみると特例子会社で働くメリットとして働きやすいように配慮が手厚かったり、障がい者を多く雇っているからノウハウがあったりすることがあげられるが、デメリットもある。


特例子会社で働く人のエッセイを読んだり調べたりしていて感じたデメリットは、やはり色々な障害者が一緒に働くことによる意思疎通の困難さではないかと感じた。

もちろん、きちんと一般社員が管理していて指示がいきわたっているなら別だが、どうやら障害者の中でリーダーを決め、その人が主に管理をするらしい。一般社員はサポートはしてくれるが人数は少なく、リーダーが疲弊して辞めてしまうこともあるようだ。

そのため、そういう会社はずっと求人を募集していることも多いらしいので、地雷案件かどうかはそれで判断できるようだ。


※クローズでもオープン(障害者雇用)でも、長く求人を出し続けている企業は離職率も高くすぐに辞める人が多い可能性が高いので、地雷の可能性が大きいということはよくいわれる。


ちなみに、A型事業所は基本最低賃金で雇われるが、賃金が貰えるだけよいかもという雰囲気である。

またB型事業所はかなり賃金が安い。お小遣いくらいのお金ではないかと思うくらいだ。

厚生労働省の調査によると、2019年度の平均月額工賃は1万6369円です。時間給にすると214円となり、同年度の最低賃金(全国加重平均額)の901円を下回っています。


この記事によると月2万にも満たない。驚きの少なさである。

またA型の方がマシだと思われるかもしれないが、A型だからといって労働環境が良いとも限らないし、BもAもブラックな環境で働かされる場合があると聞いたことがある。
※色々な障害を持った人が通うため、他の障害者とも円滑に仕事をしないとならない。故に変な人が多くても耐えないといけないという問題もある。


個人的には障害があるから働けない障害者の足元を見て低賃金で働かせているイメージがあり、あまりよい印象がない。

特例子会社の方が人気があるのもうなづけるが、特例子会社を『動物園』と例えている人もおり、正直それならバイトの方が良いのではないかと感じた。バイトを掛け持ちしたりネットで副業したりしてパラレルワーカーになるのも悪くないと思っていたからだが、私が言いたいのは福祉的就労だからと言って楽して稼げるかというと、どちらかというと搾取される可能性があるということだ。


きょうだいは社会にかかわるだけでよい


私の兄弟は、社会からかかわりを立って数年がたつ。

就活に失敗して以来、仕事をまったくしない日々だ。私は一応正社員として働いていた過去があり、辞めたのは去年の3月だ。懐かしいような遠いような記憶が未だに残っている。


自閉症スペクトラムという障害は、症状が重いほど社会と関わるのが困難になる。ただ兄弟は勉強はできる方で、頭は良かった。それだけに、ただコミュニケーションが不得手というだけで、普通に働くことができない世の中のせいで、今まで勉強してきたことがすべて水の泡のようになってしまう。


私が福祉的就労について調べる中で感じたのは、障害者の足元を見るような働かせ方だということだ。そもそも、A型かB型で働いた場合その事業所自体が潰れたらクビになるし、低い賃金で過酷な労働を強いられる可能性があるのであれば、福祉的就労という言葉が何とも安っぽい響きに思える。


無理せず働くことができるから福祉的就労なのではないかと思っていたが、はなはだ疑問だ。私はコロナのせいもあり全く職場見学に行くことができず、福祉的就労の実態を知ることができていないが、実際人並みに働ける人材は囲い込んで働かせる事業所があるのも事実なのだろうと思う。


そんな場所で働けというのはいささか残酷なようにも思えるし、私も兄弟もきちんと4年制の大学を出ているしそれなりに学歴も高いと思われるが、人並みに働くのがこうも難しいのであれば、なぜ学校はただ勉強を教えるだけで何も社会に役立つ知識を教えてくれなかったのかと、腹立たしく感じる。


大学というのは、正直全く実務に関わりのないことを教えられるし、それでいきなり会社で馬車馬のように働けというのはどうなのだろうと思う。


発達障害者にとって働きづらい世の中であるのは違いないが、正直普通に働ける人もどんどん壊れているように感じる。私のように、本当は働けたはずだが障害者雇用に掛けようとする人間も増えているのではないかとも思う。
※見かけ上全く障害者に見えないし専門の人からも発達障害ではないと思うと言われがちだったため。


発達障害は、その人が社会的に困っているかどうかも判断基準の一つといわれる。つまり私が無職で困っているからそういう診断を下した可能性もあるし、もし困っていなければわざわざ診断しなかっただろう可能性も否めない。


ただ兄弟は、私のようにそれなりに他者と距離を置きつつうまくコミュニケーションをとるスキルがない。そんななかで、働けと言っても無理な話だと分かっている。

社会は障害者に冷たいが、健常者にも冷たいと思う。なぜなら弱者に冷たい社会は、基本的に健常者にとっても情け容赦がないものであり、使えないと判断された人間は揶揄されて蹴落とされるものである。


私は、この理不尽な構造がある限り引きこもり問題は永遠に解決しないし、何十年も引きこもり社会に戻れなくなる人間も増え続けると思っている。兄弟にそうなってほしくないと思いつつ、受け入れてくれる社会があるのだろうかと思ってしまうし、精神が壊れてしまったらどうしようとも思う。

ただ、どうかまた社会とかかわりを持ってほしい。調べれば調べるほど、どんな仕事も闇ばかりだが、嫌な人間もいればよい人間もいるように、悪いことばかりでもないだろう。

※相談したら保健士に相談するのも良いのではないかと言われたので、相談してみようと思う。兄弟に対してどう接すればよいか、最近ますますわからなくなってしまったからだ。


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