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【書評・あらすじ】レーエンデ国物語(多崎礼)

レーエンデ国物語、第二部。

一部からは時間が経った、後世のお話。

一人の女性が、レーエンデのために立ち上がる「革命の物語」

500ページに及ぶ超大作だが、とても読みやすかった。

また、登場人物一人一人がとても魅力的だった。

人間の優しさや勝手さなど、生き方や大切にしたいものによって人の行動は決まる。

そんな中でも「レーエンデの自由のために」という矜持を胸に、レーエンデのために戦う姿が眩しかった。



一族の誇りを忘れず信念を貫き通す美しさ

主人公の一人である、ダール村出身のテッサ。

彼女は誰よりもレーエンデを愛し、レーエンデの民を愛している。

村のみんなのことも大好きで、みんなのために危険な民兵へ志願する。

テッサはレーエンデや村を守るため仲間とともに戦い、生き抜いていく。

ある時、村が襲われ、ルーチェを除いた村民は皆殺しに遭う。

悲しみに暮れる一方、なすすべもなく蹂躙されているレーエンデに自由を取り戻したいと考える。

テッサの熱い気持ちと行動力に、次々と志願兵が集まってくる。

なんて魅力的な、熱を持った人物だろう。

どんな苦難にも立ち向かい、決してレーエンデの民としての誇りを忘れない。

また、誰よりも一生懸命レーエンデの未来について考えている。

と思うほど。

最後の最後まで、レーエンデのことを思うテッサ。

その熱い思いが人々に与えた影響は計り知れない。


恐怖に立ち向かうテッサのカッコよさ

いつの世も、暴力を振りかざす恐怖政治が存在してしまう。

まさに、レーエンデの民が受けていたのは恐怖政治。

非合法な税金を徴収され、納税できないとなれば敵国との戦いに徴兵される。

「なんでこんなことをするんだろう」

と思うけど、現実に存在してしまうのが悲しいところ。

自分の思うように事が運ばなければ、暴力で従わせる。

国という大きなサイズから、会社、はたまた家族という小さな社会でも起きうる。

長い間、恐怖政治に押しつぶされそうになりながらも、今の生活を維持してきたレーエンデの民。

そんな時、日常が当たり前でないことに気付き、立ち上がったテッサはカッコいい。

間違ったことに対し、真摯に向き合い解決策を探る。

テッサのような行動力を培っていきたい。


自分の目で見たものを信じる

もう一人の主人公、ルーチェはレーエンデと対立する関係にある国で生まれ育つ。

ある時、自宅を襲われなんとかレーエンデへ逃げ込むことに。

生まれ育った国では「レーエンデ人は幸せに生きている」

と言い聞かされてきたが、実情は違った。

重い人頭税を徴収され、支払いが滞ると死の戦場へ徴兵される。

「自分が聞いていた話とは違う!」

「どうしてこんな惨いことをするの!」

ルーチェは目の前の実情に驚き、悲しんだ。

自分の国がしてきたことはなんと酷いことなんだろう…

幼いルーチェは自分の目で見て学ぶ重要性を感じた。

私たちの世界でも「百聞は一見に如かず」という言葉がある。

「このように言われた」

「こういうふうに聞いている」

と、聞いただけで知った気になっているけど、

真実は全く別物だったりする。

どんなことにも言えるけど、やっぱり自分の目で見て確認するのは大切だと感じた。

自分が信じてきた常識を覆されるのは怖い。

でも、知らずにのうのうと生きていくのはもっと嫌だ。

「大人のファンタジー小説」と言われている本書だけど、

前世代、楽しめるし学びにもなると思う。

私は本書で、勇気と行動力の大切さを学んだ。

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