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「むしろ、考える家事」を読んで
むしろ、考える家事
山崎ナオコーラ
私は山崎ナオコーラさんの本が好きで
何冊か読んでいる。
お父さんの介護、看取りの話も印象的だし、
ジェンダーについての考えを深く持っている人だなぁと思う。
今回は「家事」をテーマにした本
時短、時短と言われる世の中だけど、
育児にコミットする時期だからこその葛藤
社会に乗り遅れているのではないか、
家のことしかしていないのではないか、といった自己嫌悪みたいな気持ちが拭えず、
いや、そうではない、
家事をする中でも、
自分の頭でいろいろ考えたり、
やり方を工夫することによって
レベルアップし、
自分を高めることができるんだ!
と奮い立たせるような気持ちが感じられた。
●子どもの爪切りは、時間も労力も使うけれど、あと10年したら切らせてもらえなくなる、かけがえのない時間だということ。
●お手伝いも、子どもはやる気満々だけど、
鍋に当たって少しやけどさせてしまったりこちらはヒヤヒヤ。でもやらせてあげたい葛藤。
●洗濯物を干す時の日向ぼっこが気持ちいい。洗濯物を干さなければ、という嫌々な気持ちではなく、日向ぼっこができるくらいの気持ちが良い。
●洗い物をした後のお皿を、パートナーは、きっちり並べて乾かすが、山崎ナオコーラさんは、わざと角度を変えたりして、風が通るようにし、よく乾くように考えてやりたいという話。
いろいろな細かい描写を
読むたびに、普段の生活の中で
同じような気持ちになるなぁーと共感して
面白かった。
心に残ったところ
134ページ
「やはり私は、家事に対して、
「時短」「家電」というアプローチだけでなく、「人間に何かキラリとしたものを与えてくれ」「人間らしさを培わせてくれ」という気持ちで近づいてみたい。
仕事の多くがAIに取って代わられ、人間が思索にたくさんの時間を割くことになる未来に、考えごととしての家事が残っていく、
と信じいている身としては、
作業だけに収まらない家事の大きさを見てみたい。」
文章が短編で組み立てられていて
すごく読みやすかった。
ちえちひろさんの
かわいらしいイラストがところどころに挿入されていて、
ほっこりしながら読み進めることができた。
毎回山崎さんの紹介ページにある
「誰にでもわかる言葉で、誰にも負けない文章を書きたい」という目標の文言が好き。