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〜今日の常連さん〜東京へ行くなんて死にいくようなもん

まだ岐阜にいた頃、私はとある喫茶店で働いていた。

岐阜にはモーニングという文化がある。
珈琲を一杯頼むだけでパンと卵がサービスされる。

サラダがついてくるお店もあればフルーツがついてくるお店、お団子が出てくるお店もある。
お土産に!って林檎をくれるお店もある。

「珈琲一杯でそんなにサービスして経営大丈夫なん?」
と心配してしまう時もあるがモーニングきっかけで常連になってくれる方がたくさんいるのだ。

私の働いていた喫茶店では朝と夕方、1日2回も訪れてくれる常連さんがたくさんいる。

そんな常連さんたちとの思い出を書いていこうと思う。


毎日朝と夕方に訪れてくれる常連さんがいる。

私の事をピーちゃんと呼んでくれている、可愛いおじいちゃんだ。

私はそのおじいちゃんにどうしても伝えないといけないことがあった。

年度末でお店を退職することにしたのだ。
夢を叶えるために、東京に行くために。

「今日どうしても言わなきゃいけない事があって、、、」

「なんだ?結婚するのか?」

「残念ですが、ハッピーなニュースではないです。お店辞めるんです。」

「やっぱ結婚やないか」

「相手いませんから。引っ越すんです。東京に。」

「東京????ピーちゃん、お前、殺されたいのか?」

「殺されたい?」

「東京に行くんだろ?」

「ハイ。」

「東京は恐ろしい街だぞ。行ったら死ぬ。」

「ハイ?あ、もしかしてそう言って引き止めようとしてます?」

「わしゃな、東京住んだことあるんや」

「あ、そうなんですか?田舎に比べて人が冷たいから、、、とかそういう事ですか?」

「違う。東京はな、殺し屋しかおらん。」

「殺し屋…?」

「そう、殺し屋。東京に行くならそれなりの覚悟していけ」

「どっかと間違えてます?」

「上野、池袋、渋谷、新宿、、、」

「詳しいですね」

「殺し屋の街や。まあ、ピーちゃんが決めた事なら止めん」

「え、、、」

「じゃあな」

そう言って珈琲を飲み切って帰っていった。

その日はGoogleで 「 東京 行ったら 死ぬ 」と調べまくった。

おじいちゃん、東京に来て数年経ちますが、私、ちゃんと生きていますよ。

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