「グランツーリスモ7」のフォトリアルを支えるブラビアの高画質技術
ソニー広報部のNKです。
9月中旬に、日本最大級のゲームイベント「東京ゲームショウ」が幕張メッセで3年ぶりにリアル開催されました。ゲーム好きには大興奮のイベントですね。今回は、人気ゲームソフト「グランツーリスモ」とその高画質映像を支えるソニーのテレビ ブラビア®についてご紹介します。
今年の3月7日に、プレイステーション向け リアルドライビングシュミレーター『グランツーリスモ7』(以下GT7)が発売されました。1997年の初代「グランツーリスモ」発売から25年を迎える今年、「グラツー」ファンにとって待望の新作です。みなさん、ゲーム映像をご覧になったことはありますか?普段ゲームはあまり興味がないという方はもちろん、これまでのシリーズをご存知の方も、その映像のクオリティに驚かれたのではないでしょうか。あまりのリアリティに、CGであるとは俄かには信じられないかもしれません。
今回、シリーズ最高ともいわれる「フォトリアル」なCG映像を創りあげた(株)ポリフォニー・デジタル(以下ポリフォニー)のグラフィックスエンジニアチームと、その映像美を支えるソニーのテレビ ブラビア®のエンジニアチームとのあつ~い関係についてお話を伺いました。(お話を伺った方: (株)ポリフォニー・デジタル グラフィックス担当の高野さん、内村さん、鈴木さん、ソニー(株) HES技術戦略室 小倉さん、田中さん)
ポリフォニーの「フォトリアル」とブラビアの「HDR」の出会い
両社のエンジニア同士が交流を始めたのは、シリーズ第7作目となる「グランツーリスモSPORT」開発中の2016年頃からです。写真のように写実的な「フォトリアル」を追求していたポリフォニーの悩みは、コンテンツが本来持っている色や光の映像信号をそのまま映し出せるテレビが世の中に存在しないことでした。当時のテレビはSDR(スタンダード・ダイナミック・レンジ)が主流で、人間が現実世界で見ている幅広い明暗差の光と影を表現しきれず、それが映像のリアリティを損なう要因の一つになっていたのです。
同じころ、HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)の国際規格(ITU-R BT.2100)が制定されました。ブラビアの開発チームは、明暗差の表現を拡大し映像のリアリティを飛躍的に向上させるその最先端技術をどう訴求していくか模索しているところでした。そんな中、とあるイベントで「究極のリアリティさ」を求めるポリフォニーのグラフィックスエンジニアと出会います。両社の目指す方向性が同じことがわかり、意気投合しました。
「これこそが自分たちの求めていた映像だ!」グラフィックエンジニアが感動
HDR対応テレビを開発中だった小倉さんは早速、試作機を貸し出し、ポリフォニーのCG制作現場で使ってもらうことを決めます。
「世の中にHDRのテレビがなかったので、手本も見本もない状態。実際にテレビで表示されたときにどう見えるのか、どういう特徴があるのかといったレクチャーを繰り返し行いました。」(ソニー 小倉さん)
コンテンツを創る側と映し出す側の情熱の相乗効果を追い風に、開発は加速度的に進みました。
「HDRコンテンツをゲームで活用しようという流れがあり、業界的に機運が高まっていたので、渡りに船という感じでした。自分たちのHDRコンテンツをHDRのテレビに映し出したら、すごく良かったんです。」(ポリフォニー 鈴木さん)
「ゲーム機側ではダイナミックレンジの広い映像信号を持っていながら、それを出力する装置がなかったという時代が結構長く続いていました。ようやくそれがテレビ画面に出るようになったのを最初に見た時は、やはり驚きと感動がありましたし、画面の中に今まで見たこともない明るい領域があること自体がとても新鮮でした。」(ポリフォニー 高野さん)
「HDRの規格上、最大限である10,000nitの明るさまで表示できる試作機を、大崎や厚木で見せてもらったことはよい経験になりました。上限、つまり理想形が先にわかったことで、めざす方向が明確になり、コンテンツ制作をする上でも役立ちました。」(ポリフォニー 内村さん)
グランツーリスモが4K HDR映像のデファクトに
両社のエンジニア同士が直接フランクに話をし、信頼関係を築き上げたことが、双方の良さを最大限に生かす成果物=4Kテレビのブラビアとグランツーリスモ誕生の背景にあったのです。現在、グランツーリスモのデモ映像は4K HDRコンテンツのデファクトスタンダードとして、業界に広く知られています。
ゲームのエンドロールに…!
今回GT7のエンドロールに、長年の協力と貢献に感謝の意を込めてブラビアの名前を入れたいという申し出があったときの驚きと喜びを、ソニーの田中さんと小倉さんはこう振り返ります。
「思わずWow!と言ってしまうくらい驚きました。もしかして一方的にテレビを押し付けてしまったのでは…という不安もあった中で、ちゃんと使って評価してもらえたのだと実感できたのが嬉しかったです。ソニー側の関係者はみんな”グラツー”が大好きで、個人的に楽しんでいるメンバーも多いので、喜びもひとしおでした。」(ソニー 田中さん)
ブラビアのエンジニアにとって、コンテンツクリエイターに自分たちのテレビがどう評価され、使われているかを知る機会は多くありません。「4K HDRコンテンツのリファレンスと称される“憧れの映像”を創っているGT7の開発チームから、このような形で認めてもらえたことは、関係者一同にとって大変な驚きと喜びであるとともに、大きなモチベーションアップになりました」と、ソニーの小倉さんはうれしそうに語っていました。
エンドロールは、ゲームをクリアした人だけが見られるプレミアムな映像です。達成感に加え、映像の美しさから、まるで長い映画を観終わったかのような余韻に浸りながらご覧になるプレーヤーも多いのではないでしょうか。
機会がありましたら、ぜひエンドロールで”BRAVIA”の文字を探してみてくださいね!