映画の感想「父親たちの星条旗」(2006)
原題:Flags of Our Fathers
監督:クリント・イーストウッド
ずっとタイトルだけは知っていたけど、まだ観たことが無かった映画を観てみよう作戦の一環として、観てみました。
安定のクリント・イーストウッドでした!ハードボイルド、男たちの世界、画面の暗さ。人生には栄光など無いこと、人が作る世界は空虚であり、その中で得られる栄誉など中身が無いこと。それをひしひしと感じさせられる作品でした。
兵士たちが故郷から遠く離れた戦場で命をすり減らし、失っていく。それなのに、アメリカでは勲章を授与され、記念式典に駆り出され、英雄扱いをされる。戦場を経験したことが無い人間たちがいかに戦争の実情に対して無知であり、実際に戦争を経験した兵士たちに、自分たちの理想や想像を押し付けてくることが余計に兵士たちを疲弊させる。
戦場を経験していないことを罪だとは思わないけれど、それでも、民衆は戦争や英雄ということについてあまりにも美化しすぎている(そういうふうに報道するメディアのせいでもあるけれど)。この映画を観ていて、そんなふうに思った。これでは兵士たちが疲れてしまうのも当然だ。だって、戦争の実態は悲惨で、泥だらけで、そこに英雄だとか勇敢だとか、美しい要素なんてどこにも無いのだから。
日本も、アメリカも、硫黄島の土を踏んだ全ての人々の魂が安らかであることを祈ります。
There is no glorious moment in the war.
戦争に栄光など存在しない。