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日記を書くタイミングとワーキングメモリー
note以外にも手帳に日記を書いている。その日のことは、その日の寝る前に書くことを心がけている。次の日には覚えていないことがほとんどだし、そもそも朝に時間がない。
「覚えていないから朝に書く」。まっとうな理由に見えて、老化の始まりではないかと思った。
「昨日の晩御飯なに食べた?」と同じように、パッと思い出せないのは、中々にマズイことなんじゃないかと。この手のクイズというか、記憶を探るのは子どもの頃から苦手で、覚えていない。
スマホを触る目的があったのに、通知や画面上のアプリに気を取られて本来の目的を忘れて流される。そして、スマホを置いてひと息ついた頃に、「あっ!」とスマホを触った目的を思い出す、みたいな経験、毎日ありませんか?
一時的に頭に情報を残しておく、ワーキングメモリーが低下しているんじゃないかと。パソコンのメモリ、スマホのRAMのようなものが年々低下している。気づいたら勝手にソフトウェア、アプリを閉じている。その分、目の前のことに対する集中力は高い。マルチタスクができるというのは、メモリやRAMが大きいことを指していると思う。
最近読んだ、今井むつみ『学力喪失』の中では、ダニエル・カーネマンのシステム1とシステム2について紹介されている。
簡単に言えば、システム1は「直感」で、システム2は「一度立ち止まって考える力」になる。このシステムの話は知っていたが、本書では実例を元に書かれている。実際に問題を解いてみて間違った。
本書には書かれていないが、有名な問題もある。
バットとボール合わせて1100円です。バットはボールより1000円高いです。ボールはいくらでしょう?
有名な問題、と言われた時点で考え込んでしまう(システム2を使う)かもしれないが、直感では「ボールは100円だ!」となりませんか?
ボールが100円だとすると、バットはボールよりも1000円高いので、1100円になります。ということは合計で1200円です。直感は間違っています。
こうやって確かめ算をすれば分かることですが、私たちは日常生活において、そんなことはせずに、ぱぱっと直感が正しいことを信じてやまないで、物事を進めていくでしょう。
本書では子どもの学力の格差はこういった直感でぱぱっと済ませるのではなく、「ん?待てよ?」と、一旦立ち止まる癖があるかに起因することが書かれている。他にも要素はあるが、目から鱗だった。
という『学力喪失』の話が、どう関わってくるのかというと、スマホによって、目先の直感がより強化されているのではないかと。「あれしたい!」「これしたい!」のシステム1が優位な状態になって、一旦立ち止まって「ん?なんでスマホ触るんだ?」が抜け落ちていく。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』でも、ドーパミンによって「スマホが気になる!」と、直感で動くように仕向けるホルモンに支配されて、一旦止まるシステム2の働きが抑制されていんじゃないかと思ったりする。
まあ、なんか話がこみあってきた所でこれ以上掘るのは止めます。
私は、「ワーキングメモリーの鍛え方」みたいなものは知りませんが、「何やったんだ?」と思い出そうとする習慣はつけたいです。
なぜなら、記憶が定着する勉強方法の1つとして、教科書を読んだら、何も見ずに覚えていることを書き出す。書けるところまで書いたら、また教科書を見て、覚える。そして、また見ないで書く。これを繰り返す勉強法があるからです。
私が読書感想を書くときも、「何書いていたっけ?」とか「ザックリどんな内容?」とか、思い出しながら書きます。そして、書いたことが意外と覚えているものです。同じように文字から情報を受けとるのではなく、日常生活を文字に起こすことで、「何してたっけ?」がスッと思い出せるようになるんじゃないかと思ったりしてます。
P.S.
あっ、ちなみにバットとボールの話の答えは、ボールが50円です。そうすると、バットは1050円になるので、合計で1100円です。
最後まで読んでくれた人の中でバットとボールのくだりを覚えていた人はいますか? ずっと答えを知りたい状態を維持できていましたか?