初めて鍼に行った話
昨日、人生で初めて鍼に行った。
鍼は妹から勧められた。
妹の夫家族がみんな同じ鍼灸院にお世話になっているらしく、妹も首を痛めた際、例にならって受診したそうな。
妹は日々の出来事をとにかく家族に喋りまくる。こちらがあまりちゃんと返事してなくても、構わず喋り続けるので見てて面白い。
初めて鍼に行った時の事も事細かに教えてくれていた。
・初診は問診で1時間〜1時間半ぐらいかかる
・脈とか指とか足首とか手の色とか、何を診てるかは分からんけど何度も何度も何かを診てる
・ベロの写真撮られる
・鍼は1本しか刺さない
・先生めっちゃ良い人
そして「首痛いの無くなった!首まわる!」と結果を話す妹は興奮気味だった。
更に脈や舌の状態をみるだけで、自分から伝えていなかった不調も見抜かれたこともあり、妹は鍼の先生に絶大なる信頼を置くようになった。
それからは「お姉ちゃんの肩コリとか頭痛とかも、良くなるんちゃう?行った方がええで!」と常々言われていたのだが、長い問診時間と保険適用外の費用に踏ん切りがつかないでいた。
しかし、そうも言ってられない事態が起こる。
ある日の夕食後、海老レタス炒飯を食べていたら呼吸困難のような状況に陥り、救急に運ばれた。
結果的にはたいしたこと無かったけれど、それ以降食後の呼吸困難が頻発し、恐怖を覚えるようになってから、体のいたるところに不調が現れ始めた。
これまでも食後不調になることはあったが、ここまで酷くなるのは始めてだったので、慌てて仕事を休み、鍼の予約をとった。
病院に着き、問診票を渡された。5枚あった。
体の部分ごとに事細かに不調があるか。あればいつから、どのように、どんな色で、どんな形で、どんな痛み方で、どんな感覚で、どんな頻度で。
これをひたすら書き起こしていった。
記入が終わると、それを元に先生の問診が始まる。
生い立ちから現在まで、環境や心情の変化が無かったか、丁寧に言葉を選びながら不調のきっかけを突き止めようとしている様子だった。もはやカウンセリングだった。
先生は私が上手く返答出来なくても「よっしゃよっしゃ」「ゆっくりでいいよ」「わからなくても問題ないからね、全然大丈夫」と返してくれる、物腰が非常に柔らかい人。
問診を終えると、妹が言っていたように脈や頭皮の硬さ?や足の冷たさや親指の付け根の色など、何度も何度も何かを診て、「よし、足に刺します」と宣言された。
記念すべき初鍼は、左足内くるぶしの下だった。
実際に刺された鍼の形は見てないけれど、美容針をイメージしていたから、痛みなんて一切無いと勝手に思っていた。
でもちょっと痛かった。そらそうだ。針が刺さったのだから。
これは身勝手な思い込みをしていた私が悪い。
理想を押し付けることは良くないと改めて思い知らされる。
でも痛かったのは刺す瞬間のみで、痛みもレーザー脱毛と同じくらい。しかも一瞬なので、痛みの記憶はすぐ消えた。都合のいい脳。
しばらく安静にし、鍼が抜かれ、次の予約を取って帰宅した。
夫に「どうやった?」と聞かれたが、効果があったのかどうかその時点ではわからなかった為、「問診表めっちゃあった」「色々聞かれた」「くるぶしの下に鍼さした」「1本しか鍼さしてない」とかそんなどうでもいい事しか答えてないと思う。
この絶望的な語彙力をどうにかしたいと自分でも思う。
効いたらいいねぇ。とぼんやり考えていたのだが、変化は夜に訪れた。
日々氷のように冷え切っている足の末端が、冷たくなっていないのだ。
これには夫も私も非常に驚いた。
先生が言うには、下半身に血が巡っておらず、上半身に負荷が集まっているらしい。確かに、今回辛いと感じる不調は全て上半身だ。だから下半身の血を流す事から始めるらしい。
暖房器具が充実しているこのご時世に、毎年足の指に霜焼けを作っていることを見抜かれたのだろうか。
そして今回は、持って生まれたエネルギーと、食事するこによって得られるエネルギーの2種類あるが、両方が同じタイミングで弱ってしまい、不調の畳み掛けが起こったとのこと。
何事もバランスが大事。でも自分でコントロールできないバランスは、思う存分人に助けてもらわなければと思った。
「鍼いってきたんや」「鍼の先生がな。」と、年配の人はなにかと鍼、鍼と言っていた記憶があるが、意味が少しわかった気がする。
私もこれから、しばらく鍼生活が続きそうです。
「鍼いってきたんや」「鍼の先生がな。」と、ジジババっぽさ満載の会話をして生きていくのもとても楽しそうだ。