素材探訪:お砂糖
お砂糖と一口に言っても様々。でもどれが何かわからない。
15歳で調理に携わり始めたころは、きっと僕もなにがなんだかだった。
ここでは砂糖の製造方法というより、料理や製菓との関わりをまとめてみたい。
1 グラニュー糖
最も身近である白い砂糖。精製されてあり、非常にストレートな甘みがある。ストレートといっても、甘味料のようにキレが尖すぎるわけでもなく、とてもちょうどいい。間違いなく製菓で最も使用する砂糖。
白雨/apres la pluieでも、ジェラートや焼き菓子の甘味は基本的にグラニュー糖からきていることが多い。
キャラメルを作るときにもグラニュー糖を使用する。他の砂糖をキャラメルにすることは少ないけれど、クッキー、スコーンの焼色などは砂糖のメイラード反応で付く割合が大きいので、グラニュー糖のメイラード反応を基準にしている。「和三盆はグラニュー糖よりメイラード早い」など。
2 上白糖
白いお砂糖その2。グラニュー糖と比較して保水性が高く、しっとりしている。そのためダマになりやすい。
僕は駆け出しのとき(今も駆け出しではあるけれど)、卵焼きが担当だったのだが、その時使っていたのは上白糖だった。上長に「なんで上白糖なんですか?」と聞いた時の答えが上記の認識の元となった「保水性がたかく、しっとりしている。作りたい卵焼きは、出汁を十分に吸ったもの。そのためには上白糖が必要」というものだった。
本場という言い方はそれ以外が偽物だという響きがあって好きになれないのですが、本場フランスではカヌレの砂糖にカソナードを使用することが多い。最も、都市部のパティスリーではグラニュー糖でやっているところも多いけれど。にもかかわらず、白雨/apres la pluieではカヌレの甘味に上白糖を使っている。それは「作りたいカヌレは、ミルクと卵黄のエキスをきちんと吸ったもの。そのためには上白糖が必要」だから。
3 カソナード
フランスで広く使われているキビ糖。輸入品もある。日本のキビ糖と異なり、コクが極めて強い。黒糖で作る黒蜜に、黒糖の2割をカソナードに変えるだけでとても上品に、加えてどこか日本的でない感覚の味覚にすることができる。
メイラードは極めて早い。そして発色は黒く、焼き加減によって焦げ感がでることも多い。
日本のキビ糖はメーカー間の差異が少ないが、フランスだけでなく海外製品全般に言えることでもあるが、製造メーカーによって全く別物。
個人的には上記の黒蜜に加えて、クロワッサンをカソナードでやるのが好み。
4 和三盆
ジャパニーズ・カソナードと言うと和三盆メーカーさんに叱られる気もする日本のキビ糖。白雨/apres la pluieが拠点を持つ、香川県・徳島県の名産品でもあり、古来京都に運ばれ、和菓子の原料となってきた。
砂糖単品で食べても甘すぎず、コクもあり、かつ口溶けもよいの食べられる。そのため落雁などに用いられてきた。原材料はサトウキビで、時期になると和三盆メーカーさんの工場では、天日干し?している大量のサトウキビを見つけることができる。
和三盆という名前にかなりのネームバリューがあるため、和三盆を表する商品は多い。ただ、高価な原料であるため、グラニュー糖80%、キビ糖18%、和三盆2%のような配合で用いられていることもある。特に油脂分と混ざった状態で加熱されてしまうと、配合を知らずに和三盆の味覚を見つけることはとても困難。
白雨/apres la pluieの人気フレーバーでもある「wasan-bon」は、使用しているすべての砂糖の中で、和三盆が60%を占める。残りはトレハロースと、グラニュー糖。前述した通り高価ではあるものの、2%で和三盆というのは性に合わないためしっかり使っている。口溶けのよさ、後味のよさは是非食べてみてほしい。
5以降を加筆するときに、希少糖、トレハロース、水飴、メープル系、黒糖などについてもまとめていきたい。
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