温かい言葉「うまくいえないけど…がんばってくださいね」‐ポケモン金銀ミカンのセリフ
私は昔からポケモンが好きだ。
その中でも、シリーズ第二世代の「クリスタル」と「ポケモンでパネポン」というパズルゲームが好きで、今でもたまにやってる。ゲームボーイアドバンスSPで。
金・銀・クリスタルシリーズに、「ミカン」という控えめな女性のジムリーダーがいる。
私はその子が好きだった。友人とのかぞくごっこでは「ミカン」を名乗っていた。それくらいミカンちゃんのことが好きだった。
確かその時は「サクラ」という名前が取り合いになっていたので(CCさくらの影響?)ちょうどよかった。
ミカンちゃんのゲーム内でのセリフで、今でも覚えているものがある。
ミカンが主人公に負け、勝利のバッヂを渡す際に言うセリフ。また、パネポンでミカンステージクリア後のセリフでもある。
「あの…うまくいえないけど…がんばってくださいね」
なんだか、このセリフが好きだった。
「うまくいえないけど」というのは、すごく素敵な枕詞だ。
私は「言葉」というものが好きで、とにかく自分の気持ちを言葉にしたくて仕方なかった。いや、今もそうだ。
でも、だからこそ、「言葉すべきではない場面」もあるとなんとなく感じることがある。
それは「空気を読む」とかそういった打算的なことではなく、ただ何を伝えても意味を成さない場面。
あるいは、マイナスの効果になってしまいそうな場面。
友人が大事な人を亡くしたとき、私は何を言ったらいいか分からなかった。
ただ、言いたいことは山ほどあった。
「絶望したときに思い出してくれるのが私で、嬉しい」
「あなたが悲しいと私も悲しい、元気を出してほしい」
「そんなに思ってもらえて、その人も嬉しいでしょう」
「あなたは私の前からいなくならないでね」
何をどう伝えたらいい作用をするか分からなかったけど、今思えばきっと何を言ってもその子は元気になんてならなかったはずだ。
これは例えだけど、そういう「何を言っていいか分からない」ときは、ミカンちゃんのように「うまくいえないけど…」でいいんだと思う。
「うまくいえないけど…」は口下手な人だけの専売特許ではない。
普段からベラベラしゃべる私のような人間だって使っていい。
「うまくいえないけど…がんばってくださいね」
なんと温かい言葉だろうか。