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おはよう、ビーバー【Yukon Canoeing Trip_Day2-01】


ユーコン川の旅で初めての朝を迎えた。朝6時頃に起床。
恐れていた熊の気配は、1ミリも感じなくて安心する。


夜明け前から朝ごはんの支度をしていると、川の方から、”ドポン”という妙な音が繰り返し聞こえてきた。どうも石が落ちたような音でもなかったので、近づいてみると、ツーッ…と水面を泳ぐ一頭のビーバーが見えた。

木陰からしばらく見ていると、ドポンという音と共に潜り、消えては、また少し先から浮き上がってくる。音の正体は、潜る時に水面を尾で叩く音だったようだ。
それにしても、なんとも可愛らしい姿。誰一人人間はいないけど、この空間に私たちとビーバーっていうだけで親近感が湧いてくる。

私はこれ以来ビーバーのファンになってしまった。

岸の近くをビーバーが泳いでいた


忘れられない朝焼け

この日早起きをしたのは、この旅で最大の山場と覚悟していた、「ラバージ湖」を漕ぐためだった。

今回の旅の全体像としては、スタートはホワイトホース→支流を下る(Day1)→ラバージ湖を漕ぐ(Day2~3)→支流を下る(Day4-…)→カーマックスのキャンプ場がゴール。9日以内には到着したいところ。

湖は川と違って、例え天候が好条件に恵まれたとしても、かなり時間がかかる。流れのない分漕ぎ続ける必要があり、体力次第ではあるが1日かけても越えるのは難しいと聞いていた。もし向かい風や荒波になるような悪天候になった場合、いくら漕いでもカヌーの進みはぐんと遅くなり、2〜3日以上は余裕でかかると踏んでいた。

実はもう一つ検討していたのが、ユーコン川下りで最もメジャーなルートとして知られ、このラバージ湖を通らず、スタート地点がテスリン川沿いのルートであったが、この時山火事がひどくて通れないという情報があった。もし仮に行けたとしても、スタート地点に行くまでには、カヌーを運ぶための足となる車をチャーターする必要もあった。

二人で相談した結果、今回は自分たちの足で自らスタート地点に立てる「ホワイトホース」の街をスタート地点とした。
リスクも覚悟の上だけど、巨大湖を漕ぐというのも、なかなか良いかもね、という結論。これが良い方に転ぶか、否か。

幸運にも、天気良かった。
静寂で美しい朝焼けからスタートした。森の向こうの方から太陽が登り始め、空がオレンジとピンク色に染まり始めている。

しばらく漕ぐ進めると、もう既に、私の目の前にはラバージ湖が大きく広がっている。
覚悟はしていたけど、あまりにも広大で、水平線のその先はよく見えなかった。

まだ湖に入る手前なのに、川の水が湖に吸収されていくポイントにいるからか、必死に漕いでいるのに全く前に進まない。前に進んでいるはずなのに、なぜか斜めに進んだり、停滞したりする。であれば、前向きな心は持ち続けたいと、顔を上げてみると、すーっと続く水平線がどこまでも続いているだけで、気が遠くなる。この時ばかりは、夫婦で少し険悪モードになったと思う。

でも、足を引っ張るわけにもいかないので、初めての体験で縮こまりそうな自分に、やるしかないでしょう!とどうにか奮い立たせて、まだ慣れないパドルを握って再び漕ぎ始めた。

2023.Aug10



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Lisa | 旅と暮らしのnote
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