#19 時の流れを忘れた街角(神田須田町/東京)|写真とひとり散歩
前回の神田神保町に続き、今回は神田須田町を巡る。
秋葉原の南に位置する神田須田町は、明治大正時代は、銀座や日本橋と並んで有数の繁華街であったらしい。
その面影は、立ち並ぶ昔ながらの建物から窺い知ることができそうだ。
またしても食事のチャンスを逃した
神保町駅から歩くことおおよそ、15分ほど。
秋葉原から南西に位置する場所に、レトロ建築が密集している。
まずは、六文そば。
前回の神保町編で、中華屋の成光が休みだったため、ここで食べようと思っていたが、こちらも祝日は休み。
この六文そばは、都内にいくつか店舗があり、その中でも古参店舗であるようで、1971年(昭和46年)頃から営業をしている様子。
次回こそは…と意気込んで次の建物へ。
歴史が詰まった場所
距離が取れず、見切れてしまったが、この建物は1928年(昭和3年)にできたものらしく、千代田区の文化財事務室のサイトによれば外観には銅が使われているようだ。
そうだとすると、この特徴的な青緑色は銅特有のサビということだろうか。
こちらは、特に何か指定を受けている建物ではないようだが、作りからしてかなり古そうだ。
調べていると山田歯科医院のホームページに辿り着いた。
シンプルだが、真摯な姿勢が感じられる文言が並べられており、なんとメインとは別に「ギャラリー別館」と称して、約70年前の建物の姿や神田周辺の様子を公開している。
白黒写真のため、色までは分からなかったが、当時の外観から少しの変化はあるものの、できるだけそのカタチを残すような修繕をされているようだ。
ぜひ、今後もここに残り続けて欲しい。
千代田区景観まちづくり重要物件
山田歯科医院の周辺には、千代田区景観まちづくり重要物件に指定されている建物がある。
通りはこのような感じで両サイドに古い建物が密集している。
車はあまり通らない。
ぼたん
まずは、鳥のすきやき専門店「ぼたん」だ。
ぼたん自体は、明治30年頃に創業されたらしいが、この建物は昭和初期の1930年頃に竣工されたようだ。
1階部分には塀があるが、デザイン性があるように見えて邪魔にならない。
ホームページによると、備長炭と鉄鍋を使ったこだわりの料理が出てくるようで、予約は1名でも可能だ。
これは、一度母を連れていくか、もしくはひとりででも行ってみたい。
1人前は、9,000円と老舗料理店の中では手頃に楽しめそうなのも魅力的だ。
いせ源本館
続いては、あんこう鍋 いせ源本館。
こちらは、ぼたんと違い塀はなく、入り口も通りに面している。
1932年(昭和7年)竣工(ホームページによると昭和5年の建て直しとなっている)で、入り口に吊るされた木製の看板は建築当時から使用されているとのこと。
この建物自体は、震災前からあったようだが、震災にて全焼後、建て直しとなって今の形を保っているらしい。
昭和30年頃、写真の女性が覗いているケースはガラス張りの冷蔵庫になっていたようで、アンコウがそのままに吊るされていたそうだ。
その様子は、ホームページの「いせ源の由来」というページから確認ができるが、なかなかシュールだった。
そういえば、上野や渋谷のフグ料理専門店は店頭に水槽をかまえて、フグを泳がせているが、それと似たような趣向なのだろうか。
竹むら
最後は、竹むら。
1930 年(昭和5年)創業の甘味の老舗だそうだ。建物の竣工も創業と同時。
当時としては珍しい、木造3階建てで、2階の欄干に竹と梅の模様が彫られている。
軒下には、竹邑と書かれた提灯?のようなものがあった。
正式名称は、竹邑だったのだろうか?
このあたりは、祝日は休みとなる店が多いらしい。
ネットで調べてみたが、店内は撮影禁止のようである。
食べログには多くの写真が上がっていた。もしかすると、以前は撮影OKだったのかもしれないが、マナーは気をつけたいものだ。
秋葉原方面へ
神田須田町から秋葉原方面へ向けて歩いていく。
この道すがらもレトロ建築がある。
まずは、万世橋から続く煉瓦造りの高架橋だ。
万世橋の建設は1912年(明治45年)で、現在は高架下が商業施設になっている箇所がある。
かなり豪華な装飾が施されているのも特徴で、それはかつて万世橋駅というターミナル駅があったからだという。
今回自分が撮影しているこの高架下の倉庫は、第2小柳町橋高架橋で、万世橋高架橋に比べると装飾も少し控えめに見える。
とはいえ、煉瓦の質感に緩くアーチを描いている曲線が美しいと感じた。
少し歩くと、何やら外国人が列を作っている店に辿り着いた。
白と赤の真ん中の店なのだが、ニコニコまぜ麺&カレーという店らしく、ハラルフードで提供をされているようだった。
外国人が列を作っていたのも納得だ。
だが、自分の目当てはその店ではなく、こちらの建物。
店先には、鉢が置かれているものの、謹賀新年のポスターが掲示されている。
ざっと調べた感じでは、西田文庫紙店は2020年9月に登記を閉鎖しており、同じ名前の違う会社のものでなければ、閉業しているのだろう。
次に見つけたのは、岡昌裏地ボタン店。
この色味から見て、銅板で外観はできているようだ。
建物は1928年(昭和3年)竣工。
正面から写したかったが、店の前に車が停められており、叶わなかった。
今回の散歩の最後は、海老原商店。
この建物は、全体がタイル張りで洋風色が強い一方、入り口部分は唐破風と襖のような玄関戸があり和風だ。
この建物も、1928年(昭和3年)に竣工のようだが、これも1930年前後に流行っていたという和洋折衷建築なのだろうか?
海老原商店の右側は、現在駐車場のようなものになっていたが、かつてはここにも銅板葺きの看板建築があったようだ。
解体されてしまったようで、とても残念である。
最後に
今回は、レトロ建築を探すという名目で神田〜秋葉原を歩いてみた。
当時の姿のままを残し続けるのは、大変だとは思うものの、千代田区ではそれを保護するような重要物件の指定なども行なっているので、これからもその取り組みは続けて欲しい。
建物とは関係はないが、今回の写真は、色々と言われることが多いsmc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6 ALで撮った。
自分としては、なかなかよく写っているのでは?という評価で、感触も悪くなかった。
そのため、キットレンズではあるものの今後も大切にしていきたいレンズのひとつだ。
PENTAXを買いたいと思っている方、まずはぜひKFのレンズキットからいかがだろうか?
📷PENTAX KF