ITパスポートのススメ
1.ITパスポートいかがですか
私は行政で情報部門に6年ぐらい在籍していますが、DXの一環などで業務を効率化したいなら、ふんわり情報技術(IT)について勉強するのも一手なのかなと思っています。私は必ずしも全てをデジタル化をする必要がないという立場の人ですので、やらないという選択肢もいいと思っています。ただ、やらないという選択肢を意識できるようになるにはITスキルは不可欠なのかなと思います。何事も知っていることは大きいのかと思います。
DXについては以前記事を書いていますので、よろしければご覧ください。
私は2年前、昨年と情報処理推進機構(IPA)の高度試験に1つずつ合格しました。その技術者の端くれだからなのか、IT(情報技術)の勉強方法について、ご質問を頂くことがあります。
その中で、「ITスキルを勉強するには何をしたらいいの?」と聞かれます。
勉強方法の一つとして、資格勉強の中で体系的に学んでいくという手法が取れるのかと思っています。(目的が具体的な方には、具体的な資格名や手法を回答することがあります)
ざっくりとITスキルについて勉強したいという方がいらっしゃいましたら、私は「ITパスポートを勉強してみてはどうですか。」と言うことにしています。
2.ITパスポートとは
ITパスポート(iパス)は以下のような試験です。
ITを使いこなすには技術的な知見だけでなく、その周辺知識も必要となります。例えば、システム導入は組織の活動目的を達成するために行われます。(※1)また、利害関係の調整には法的知識が不可欠です。そういった周辺知識を理解するのに有用かと思います。
範囲が広いということは、一般的な知識を幅広い勉強するのに役立ち、自分の適性を整理するのに役立つので、教養的に取り組むのもよいのかと思います。
(※1)自治体ではシステム導入が目的化しているケースが散見されます。導入することが目的であれば、無駄が多くなりますので、税金の無駄遣いです。住民の信託を大きく裏切るという意識は持った方がいいと個人的には思っています。
3.ITパスポートってどんな試験?
以下にITパスポートの試験概要をまとめてみました。
すべて4択試験ですので、選択肢から勉強することも可能ですね。
技術的な問題だけではなく、IT戦略や管理なども多く出題されます。勉強の中でITスキルは多岐にわたるということを実感でき、組織の達成目的の中にITの利活用があると実感できれば、業務遂行の大きな一助になるかと思います。
4.具体的イメージをつける
いくつか過去問を基に、ITパスポートので学べる知識をいくつか例示します。試験や勉強内容のイメージをつかんでいただけると幸いです。
(1)セキュリティの例
これはウが正解なのですが、実際にこういった事例はよくあります。標的型攻撃は、「攻撃する人が、差出人を取引業者や官公庁などに偽装して、受信者が必要と思う件名や本文を使用したメールを送り、受信した人が、ウイルスを仕込んだ添付ファイルを開いたり、ウイルスに感染するWebサイトへ接続したりするように、狙い打ちする攻撃」のことです。これを知っているか、知らないかでは、日常業務のリスクが違うのかなと思います。
(2)財務諸表の例
これもウが正解です。キャッシュフロー計算書は資金状況、損益計算書は経営成績(売上と費用など)の状況、貸借対照表は資産・負債・純資産の状況が分かります。ITをコントロールする人はこれらの状況の中で何をするべきかを考える必要があると分かります。
(3)サービス水準の合意の例
これはイが正解です。SLA(Service Level Agreement)は、サービスの提供者と利用者間でのサービス水準の合意のことです。全てのサービスが24時間365日利用できるとは限りません。市役所にいると感じるのですが、この点勘違いされている方が多い印象です。どのレベルでサービスを受ける必要があるかは、調整が必要で、契約等で定められる内容になります。
5.試験勉強に役立つもの
いろんな方にお聞きしますと、書籍は以下が人気です。トピックが分かれていて、また、そのトピックごとに問題があるので、アウトプットがしやすいのかなと思います。
私がITパスポートの話をするにあたり、読み物として読んでいた本は以下です。(実際に読んでいたのは、過去の年度分の書籍です)
Webサイトでの演習は以下が便利かと思います。
(昨年合格したプロジェクトマネージャ試験でも同様のWebサイトにお世話になりました。)
6.まとめ
IT=情報技術ですので、あくまで技術です。技術をうまく使うには、いろんな周辺知識も必要かと思います。楽に仕事をするために、広く浅く知るのが第一歩ということをご提案させていただきます。