「自治体情シス担当のシゴト」を読んで
最近、公務員の方から「ぎょうせいから出版された『自治体情シス担当のシゴト』の書籍を読む!」というお声をお聞きしたので、流れに乗って私も読んでみました。実は3月上旬に予約しており、3月の最終週には入手しておりました。
この本は、情シス初心者だけでなく、数年情報部門で勤務された方にも是非読んでいただきたい書籍だと思いました。
その理由を簡単に記事にさせていただきます。
1.情シス歴6年の私の感覚とも一致している
本書では、前書きで「情シスは総合格闘技」と紹介されていますが、本当にその通りです。情シスは、システム的な知識だけなく、業務、法令、契約、出納、調整手法など様々な知識をもって、問題を解決していかないといけません。また、現状に対して問題意識をもち、課題設定、仮説構築していくことも必要になると思います。
そして、概要説明のあとは、システム導入ではなく、まず、システム保守・運用について述べられています。これが素敵です。ITといえば、導入ばかりに目が行きますが、運用保守のフェーズの方がはるかに長いのです。まず、保守・運用から入っているこの書籍は良書と言えます。
2.数年情報部門で勤務された方にオススメする理由
基本には何度立ち返ってもいいと思います。例えば、IPA(情報処理処理推進機構)にITパスポートという、IT利用者の基礎的な知識を問う国家試験があるのですが、常に100点を取れる方も少ないのではないかと思います。つまり、時代が変化する中で、基礎の内容も変化するので、何かの折に基本に戻るというのは必要なことなのだと思います。
また、この書籍は自分に足りない部分の気づきになると思います。契約、見積、セキュリティーポリシーなどトピックがありますが、数年勤務された方にとっては「当たり前の内容」が書いてあります
業務経験によっては弱い部分があると思いますので、それを知るいい機会になると思います。
3.契約内容は意識してほしい
情報部門の方は技術的なお話は得意な方が多いですが、契約の話になると弱い方が多いという印象を経験上私は持っています。
本書には、見積書や契約書について、確認すべき基本的内容を書いていますので、基本を確認する上でも良いなと思いました。また、ベテランや管理職であっても見積書、契約書、仕様書などを確認していない情報部門の職員は多いなというのが正直な実感です。契約の内容次第で、自分の組織のリスクが決まるといっても過言ではありません。例えば、相手がまともに動作しない設定を行ったパソコンを納品しても、仕様書に記載しておかないと責任を問えないといったことすらあります。(これは残念ながら実話です)
4.セキュリティポリシー
これは職員の方々も存在は知っていると思いますが、実際、誰が何の責任を負っているかを意識して業務をしていることは少ないのではないかと思います。私自身、セキュリティポリシーの業務に関わっていたにもかかわらず、最初はすぐに説明することができませんでした。そのため、本文を読み込み体系を理解した次第です。(体系的に整理して教えようという気がある人もいませんでしたので)
そういった状況を踏まえてか、本書には、組織体制について書かれています。何が組織の弱点かを分かっている方々が執筆されているなと思いました。
そして、セキュリティポリシーの担当者は、全庁職員に分かりやすく何を守るべきかを周知していく責任があると思います。私は、現職で志半ばに、情報部門を離れることになりましたが、守らないといけないことを広く分かりやすく周知していくことも情シスの責任かと思います。
5.最後に
「情シスは総合格闘技」という言葉にもう一度情シスをやりたいなと思いました。現職ではIT採用にもかかわらず情シス的な業務を行うこともなく、情報部門から出ていくことになりました。関わるとしたら、采配が可能な係長級以上で自治体情シスには携われたら嬉しいですし、情シスというシステム面の上流部分で業務を改善できたら多くの方の業務負荷軽減につながると思います。
一番は、与えられた仕事を全うすることですが、この本を書かれた方のような同じ志を持った仲間がいる環境や自分が采配できる環境へ行けるのであれば、移籍してもいいかなと思いました。
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