DAY11:衣装が好きな作品〜ミュージカル『刀剣乱舞』〜
服を見るのが好きだ。「衣装」だとなおさら、気分はアガる。
昔からとにかく変身願望が強く、それを引き摺ったまま年を重ね続けているためか、普段着としてはなかなか着ない、ステージや行事で着る衣服に憧れがある。
アイドルの衣装や制服を模したコスチューム、アーティストのライブ衣装やライブTシャツのアレンジ、着物や袴etc......マンガやアニメ、ゲームの登場人物が着ている衣装は立ち絵を永遠に眺めていられる。
アイドルのライブでは、そのときどきのテーマや曲に沿って作られた衣装を凝視する。何なら彼ら彼女たちの顔より服を見ている。
それぐらい、衣装への想いは強い。
【中身】がもちろん一番大切だけれど、ガワだって大事なのよ。
そんなこだわりが強いわたしの心を射抜いたのは、いまや2.5次元界を牽引する存在となった『ミュージカル「刀剣乱舞」』(以下、刀ミュ)の衣裳たち。
『刀剣乱舞』はDMM×ニトロプラスが展開するブラウザゲーム。(現在はスマホアプリゲームとしても展開されている。)
”ヒト”のかたちで顕現された刀の付喪神=「刀剣男士」が、過去を改編しようとする「時間遡行軍」を滅するために戦うというシナリオ。男士たちは歴史上実在する刀で、それぞれの由来や史実に基づいた”物語”を持っている。
【もの】だった彼らが【こころ】を知り、あたたかさに触れられるしあわせと、“史実通り”失われていくいのちたちに痛みを抱いていく姿に、毎作品涙を流さずにはいられない。
前説がかなり長くなったけれど、本題。
刀ミュの衣裳は本編(1部)とライブパート(2部)で分かれていて、コスチュームは1部、2部ではそれぞれをイメージされてつくられたステージ衣装がある。
上掲した動画『三百年の子守唄2019』(2017年上演作品の再演)は、わたしがちゃんと刀ミュを見るきっかけとなった作品。ゲームはプレイしていた方大体は知っていたものの、コスチュームと、何よりウイッグのクオリティが高くて驚いた。
まず、1部のコスチューム。
イラストだった衣装たちが立体になっていることは勿論、生地の質感が刀剣男士の動きで伝わってくるから目が楽しい。生地に何が使われているとかそんな知識がないからわからないけれど、「きっと彼らが動けばこう舞うだろう」という予想通りにそこに在るものだから、余計に興奮する。演者が衣裳に「着られていない」のもえらいものだ、と思った。
衣装が自然に動くのと、その場に影がきちんと映ることで、かれらの存在を実感できる。
特に、にっかりさん(推し脇差)の白装束の透け感と軽さは、再現度の高さに随分と感動した。動けば動くほど、衣裳の良さが引き出される様に、ずっと口元を手で覆っていた。声にならない感動に打ち震えていた。この時点で自分がかなり気持ち悪いことを察した。
次に刀ミュの中でも好きですきで仕方ない”ウイッグ”。
2.5次元作品のキャラクター造形の良し悪しを決めるのは髪型と行っても過言ではない。メイクより衣裳より、大切なのは、髪。人の見た目の7割は髪型で決まる。
刀ミュのウイッグは年々クオリティが上がり続けている。トライアル時代とは比べ物にならない。なかでも石切丸さんの艶玉輝くおかっぱと、にっかりさんの風に靡くポニーテールはとっても好い。フィット感がすごい。村正さんのロングヘアも、怪しげな雰囲気の中に隠されている優しさを表現するようにホワホワと柔らかく動くのがかわいらしくて、ついつい手を伸ばしたくなる。戦いで乱れるのもすごく良くて、もう、本当に気分が高揚する。(好きすぎて語彙が追いつかなくなってきた。)
わたしは一生、糸川さん(ヘアメイクさん)に頭が上がらない。
そして、2部のステージ衣装。
こちらは男士ごとにデザイン所々違うけれど、大きな枠組みでは揃いになるようになっている。アイドルがよくやるやつ。
『三百年の子守唄』では、基本はクラシカルな西洋のスタイル。コートやスーツを模した衣装でかわいらしいし、デザインだけでなく着こなしもさまざまで、細かいところまでスタイリストさんの心配りが感じられる。
刀ミュのお衣裳は、すべて演者が着脱しやすい設計になっているのも好きなところ。もちろんスタッフさんのお手伝いがないと難しいものもあるのだけれど。
これは1部・2部共通で、特に2部はジャニーズと同じ(例えが分かりにくい)で、中に着込んで徐々に脱いでいく演出なので、手間がかからないスナップボタンかチャックが用いられている。どのジャンルでもこれは共通なのかも。
ちなみに最後のインナーは露出がちょっと高めなのだが、男士たち(俳優陣)の【最も美しい部分】が見えるようになっているらしい。腕、背中、腹などなど。美しいからこそ、曝け出して魅せる、という発想に畏れ入る。
最後に。わたしが一等気に入っている『歌合 乱舞狂乱2019』の浄衣。
洋装も好きだけれど、和装はもっと好き。伝統的な衣裳はいつもの三倍は胸が高鳴る。
神事だから着用されている浄衣で、男士たちが舞う姿を何度も配信で観た。神卸と浄衣で激しく舞うところを拝めるなんて思ってもいなかったから、会場(@広島グリーンアリーナ)で目にしたとき、心の中で歓喜した。
とどのつまり、服は「着られて」、ひとは「動いて」なんぼ。
互いに飾られているだけでは意味がないんだね。
わたしの夢の一つが、「刀ミュの衣裳・ウィッグに触れる」ことだ。
東京の「刀剣乱舞 2.5D cafe」で、代わる変わる衣裳は展示されているそうなのだが、眺めるだけでは満足できない。その素材を、ぬくもりを、職人技を、ちゃんとさわって確かめたい。砂糖菓子を愛でるように丁重に扱うから。そこをなんとか。
ちょっと無謀に近いことだけれど、億が一の可能性にかけてここに記しておく。
余談。
このお題に取り組んで、自分の語彙と知識の少なさに前向きに絶望した。
専門的でなくとも、文章で説明するときに必要な知識をちゃんと身につけなくては。ちゃんと「ことば」で説明できるひとになるぞ。オチもつけられるようになるぞ。(どうしても尻すぼみになりがち)
えい えい おー!