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【散文|詩】融解


曇天が立ちはだかる明朝に太陽は昇らず、街は翳り、沈む。
ゆっくりと確実におわりへと近づくからだを受け止め続けるベッドは頼りなく軋んで、ふたつの容れ物が堕ちないよう踏ん張っている。
素肌が融け合う瞬間を識ってしまった動物はぴったりと重なる自分以外の重さに心地よさを覚え、完全に境界線が消えることを望んでしまう。スノードームのようにこの街だけ永遠に雨が降り続け、ひかりから置き去りにされないだろうか。仄暗い水底のような場所で息を潜めて、酸素が足りなければ互いに補い合って、神の裁きをじっと待つんだ。淡い幻のほとりで。





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