「何もしないことを楽しむ」フィンランドらしい、春の休暇に。
なぜフィンランドに移住したのか、これはよく問われる質問。
確かに、こっちに恋人がいたわけでもないし、会社から辞令が出たわけでもない。つまり、ここにこなきゃいけない理由があったわけではない。
じゃあなんで、わざわざ引っ越したの?
これは、首都ヘルシンキから車で4時間ほどのコテージ(いわゆる田舎の別荘)に行って友人10名ほどで2泊を共にしたイースター休暇に、なんかちょっと色々考えたときのお話。
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フィンランドはキリスト教が多い国なので、ほとんどの休日はキリスト教の休みにちなんでいる。なので今年も、4月の頭にイースター休暇として4連休が与えられた。
このようなイベント時、多くのフィンランド人は親戚や家族で集まってワイワイするところ、私のような外国人は行くところがない。(クリスマスも然り。。)なので、それならそれで外国人で集まって楽しもうじゃないか!ということで、ボスが今回の旅行に誘ってくれた。
私のボスは仕事以外にも、ヘルシンキ内で、あるスポーツサークルを運営している。そこで集まった気の合う10人に、私も初めて混ぜてもらった。国籍はバラバラで、フィンランド・ロシア・イタリア・スペイン・スリランカ・ベトナム・台湾、そして日本。みんなヘルシンキで仕事をしている社会人。
休暇初日の朝、車3台にそれぞれ家が近いもの同士乗り込んでヘルシンキを出発。WhatsAppのグループチャットで位置情報を確認しながら現地まで。マリオカート見たいだねと、ワイワイしながら目的地周辺のスーパーマーケットに到着。今回はあらかじめメンバー内でペアを組んで献立を決めて食事係を順番に担当する。その材料とスナックを買い込んでコテージへ。
コテージは、おそらく昔は実際にフィンランドの方が自分達の夏別荘として建てたのだろうと思われるが、綺麗に改装されて、今は貸別荘になっているもの。フィンランドで一番大きな湖のほとりにあって、薪サウナがついている。
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そこで何をしたのかと言われると、、
「食べて、しゃべって、サウナして、寝る」
本当に、これだけ。
時間や順番も決めずに、誰かが言い出して自分もやりたければやる。
サウナにはアヴァント(寒中水泳)でしょ、と誰かが言い出して乗り気になった人たちでせっせと湖の氷に穴をあけはじめる。
周りでは雪合戦が始まって、疲れたら休憩。
穴が無事に開いたら、穴掘り隊を盛大に讃える。笑
ご飯の献立も、誰が言い出しわけでもないのに、みんなに楽しんでほしいからと、自分の国の料理を作ったりして、自然にエンタメが生まれる。(朝ご飯で、スペインの子がチュロスを揚げてくれた時はテンション爆あがり!)
「何もしない」ということを楽しむ。
この歳になってのこの時間の使い方が新鮮で、書いて残しておきたくなった。
飾らない贅沢。インスタ映えしない贅沢。
フィンランドの何が好きって、こういうところだよなぁと、改めて実感した。
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今回の旅で気がついたフィンランドの好きなところは他にもあって、それは、ここにいる人はみんな本当に「自然体」で、それを受け入れてくれると言うこと。
これは、今回のメンバーの、誰とでも友達になるタイプの元気ハツラツなベトナムの女の子と話してて思ったこと。
彼女は、フィンランド来てから自分の自然体に気がついたんだと言っていた。ベトナムに住んでた頃は100%外向的で、また、そう振る舞うのが当たり前だと思っていたらしい。でもフィンランドに来てから、この国の空気もあって、一人で静かに過ごす日が増えてきて、そのうち半々くらいの外向性と内向性でいられるのが心地よさを覚えたのだと。なので今ではベトナムに一時帰国しても、フィンランドに帰ってきたくなるらしい。それが年齢を重ねて落ちついてきた、ということなのかも知れないけど、それは、少なくともフィンランドという環境にいたから気がついたことに違いない。
私も、フィンランドに移住したものとして、移住しようと思った理由はよく聞かれる。私は、「単に」と行ってしまえばそうなのかもしれないけど「留学してみてここは空気が肌に合ってたから」と、答えている。
今回の旅を具体例に挙げると、サウナの時、私が眉毛なくても誰も気にしないし私も気にしない、ビキニなのにお腹がぷよってても誰も何も気にしない。声が小さくても、内向的でも、ちょっと変わった趣味を持っていても仲間はずれにされず晒し者にもされない、その人の個性としてみてくれる、私もそう見ることができる。
これは一見、他人に興味関心がない様に見えるが、しかし、サウナが狭くてベンチに余裕がない時は自然と譲り合うし、譲られたら遠慮せずに自分が座りたかったら座るし、断られてもそうなのね、で終わり。そういう文化の中にいると、私も安心してそうできるし、そうしているのが心地が良くなってくる。つまり、自然体でいることが心の余裕(他人への思いやり)に繋がってるんだと。よく聞く言葉ならびだけど、文言としてだけではなく、初めて実感した。
私にとってフィンランドは、イメージで言うと、腕を引くわけでも手招いて待っててくれるわけでもなく、「隣、空いてるからいつでもおいで」って、何もせず静かにそこにいて、訪ねてきた者を受け入れてくれる存在。そんなふうに、そもそも国自体が自然体なのだ。
良くも悪くも、周りを気にする・気にされるアジア文化の中で生まれ育って、今まで20数年間感じてきた生きづらさはそこだったのかと、他の国にも色々住んだけどフィンランドに来てやっと気がついた。
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と、、、何もしないことを楽しみに行ったはずなのに、最終的には新しい刺激を受けまくって、色んなことを考えてしまった。笑
でも、なんやかんや、この歳になってまた学生の時のように、新しいコミュニティに入れたり、新しい刺激を受けられていること、考えられていること、、何より自分で選んだ道に日々進めていけていることが楽しくてしょうがないな、ありがたいなと思った。
自分の選んだ好きな場所にいて、また好んでそこにいる人に会って、色んな話をする。
今、自分のいる状況を改めてみてみると、なんて楽しい人生だ!と、そんなふうにしみじみ思った、2023年のイースター休暇。
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