はじめまして、賀と申します。
“速報醬”というMCN(インフルエンサープロダクション)会社でCEOをしている、賀と申します。
日本の大学を卒業してから15年ぐらい、日中間でIT・広告・媒体などの仕事をしています。
今までは自分の使命として日本の最新情報を中国の若者に届けることをやってきましたが、中国経済が発展し続ける中でも特に中国SNSはすごく進化していて、最近は日本→中国へと一方的に情報を流すだけでは足りないと思い始めました。そこで、これから中国のIT・EC・ソーシャルメディアなどの最新情報と個人の体験を、日本人のみなさんに届けていきたいと考えています。
その前に、まずは自分の今までの経歴をみなさんに共有します。
ただの自慢話になってしまうと面白くないので、あえて、今までの失敗とその時の中国SNS業界に発生した大事件を並ベて説明したいと思います。
人生を大きく4つのステップに分けると
15年前に読んだソフトバンクの孫正義さんの本に載っていた“人生を4つのステップとして考える方法”にすごく共感し、今まで実践してきた。
第一ステップ:勉強の時期、2005年〜2015年
第二ステップ:実験の時期、2015年〜2025年
第三ステップ:成功の時期、2025年〜未知
第四ステップ:貢献の時期、未知
ステップの名前は自分なりの解釈で書き直したが、今まで大体このような順番で歩んできた。
第一、第二ステップの15年を振り返ってみると、たくさん数字を作ってはきたが、決して成功とは言えないだろうと考えている。
十五年間の失敗
時系列ではないが、まずは、直近であるここ5年間のことを振り返ってみようと思う。
失敗十一から失敗十五: 第二ステップ 実験の時期(2015年〜)
今までは失敗としか言えなかったが、2015年以降は以下の図のように、少しずつ上手く行き始めた。もちろん、それ以上に多くの失敗もしたので同様に説明していきたいと思う。
2015年〜2019年に自分の力で起業している時期
失敗十一:2015年、自分の得意なことをやらなかった
「速報醬」はチームメンバーを揃えてスタートした。
最初は自分が得意な媒体から始めたわけではなく、資本元の意見を聞きながらOTAを目指して「Travel like a local 」 (日本にいる現地中国人のための旅行ウェブサービス) というAPPを開発した。その後、日本好きのコミュニティーをメインにしたAPP (日本にいる現地中国人のための買い物ウェブサービス) を開発した。
当然、全部失敗だ。
当時の「速報醬」はWeiboの1アカウントのみで、100万フォローを突破していた
「中国SNS BIG事件」
1)テンセントのガイドラインによると、WeChatの毎日登録ユーザーが5億7千万人に逹した。
2)Weiboのアクティブユーザーは2.12億人を突破し、スマートフォンユーザーは86%。
もしタイムマシンがあれば、当時のアホな自分に「自分が得意なことをやってくれ、やることなんていっぱいあるじゃん、これからはWeChatをしっかりやらないと」と言い渡す。
失敗十二:2016年、他人をマネするだけでは自分の道を開けない
2016年、中国SNSにおいて動画ブームが到来した。資本の動きが激しく、お金がたくさんソーシャルメディアに流れてきた。速報醬も資本を調達できたので、無謀だけどたくさんそれらの資本を自社の動画コンテンツに投下し、失敗してしまった。
「当時の速報醬」はWeiboが2アカウント、WeChatが1アカウントで、トータルでは200万フォロワーくらいいた。
「中国SNS BIG事件」
1)ミニ動画のMCN「PAPI醬」が大人気になる。2200万元という金額でインフルエンサーとして史上最高の広告を獲得することが話題になっていた。
2)W11(ダブルイレブン)の売上高は1207億元に達した。
もしタイムマシンがあれば、当時のアホな自分に「動画の時代はまだ早い、Wechatに全力を注ぐべきだよと言い渡す。
失敗十三:2017年、拡張するときには慎重になるべき
中国SNSのコンテンツジャンルはバブルが止まらず、2017年は生放送と越境ECが流行り始めた。雑草が生えるみたいにいろんな生放送会社ができた。またその年は中国におけるMCN元年でもあり、多くのMCN会社が誕生した。
当然、速報醬もMCNに変身し、たくさんのKOLと契約して生放送などを一気にやり始めた。その結果、KOL契約、越境ECの準備、プラットフォームとの交渉などやらなければいけないことが多すぎてビジネスにまで手が回らず、死にそうなくらい大忙しな一年となった。しかも、売り上げの貢献は本当にわずかだった。
当時の「速報醬」はWeiboが約10アカウント、WeChat2アカウント、トータル500万フォロワー近くになった。
「中国SNS BIG事件」
1)テンセントWeChatのミニプログラムがスタートし、APPの使用習慣がこの時から変化し始めた。
2)生放送のビジネス規模は304.5億元になり,2016年の218.5億元より39%増加した。
もしタイムマシンがあれば、当時のアホな自分に「タオバオの生放送を全力でやってくれ」と言う。
失敗十四:2018年,企業の成長が遅い?CEOの視野が狭いだけ
中国のMCNが乱雑に成長した一年で、各プラットフォームには各MCNランキングなど、あちこちに情報を飛んでいる。速報醬もWeiboにて海外における最大MCNの座を取ることができた。
でも、本質の部分で、こんなに膨大なフォロワー数の裏では本当に企業さんたちに対して、世の中に対して何か貢献ができただろうか?MCNばかりをやってきたが、本当にSNSはそれほどのMCNが必要なのだろうか?アカウント数とフォロワー数だけを見て、本当にソーシャルメディアの進化と言えるのだろうか。
答えは「違う」。
当時の「速報醬」はWeiboが約100アカウント、WeChatが2アカウント、トータルで3500万フォロワーー近くに達した。
「中国SNS BIG事件」
1)7月にEC会社であるPINDUODUOが突然アメリカ市場に上場し、消費のバージョンアップかバージョンダウンかという中国国内の弁論を引き起こした。
2)Bilibiliが上場
もしタイムマシンがあれば、当時のアホな自分に「自分を変えて、Douyinを見なさい」と言う。
失敗十五:2019年、チャンスにはこだわりが必要
速報醬5年目、いろんなジャンルの方が応援してくださっている。
コンテンツ関係では音楽、エンタメ、美容・ファッションなど、
ビジネス関係ではDouyinへの挑戦、MCNとしてのエース育成、日本のブランド強化など、新しくやることがどんどん出てきて、毎月北京、上海、東京、大阪をグルグル回っていた。
そんな2019年もあっという間に終わったところで、やはりチャンスに対して明確にNOを言える勇気が足りなかった、と今となっては思う。
今年の「速報醬」はDouyin10アカウント、Weiboが約100アカウント、WeChat2アカウント、トータルで5000万フォロワーを超えた。
「中国SNS BIG事件」
1)タオバオ生放送で2684億元を記録、新たな歴史を作った。
2)PINDUODUOはQ3レポートの大赤字により、株価格が落下、IPO後の一日最大のダウンは24%にもなっていた。
もしタイムマシンがあれば、当時のアホな自分に「専念が必要」と言う。
失敗一から失敗十:第一ステップ 勉強の時期(2005年〜2015年)
(つづく)
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