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「サンダンの不思議」先人が守ってきた木はクメール伝統保存食となり受け継がれる。

こんにちは。
カンボジアシアヌークビルに住むそくあんです。

クメール料理の知名度が低いのはなぜ?

タイ料理やベトナム料理は世界的に有名なのに、クメール料理はなぜそこまで知られていないのだろうか?つい、全人類にインタビューしたくなるほど気になります。

カンボジアを訪れた日本人観光客からは、「日本人の口に合う」という声をよく聞きます。欧米人には、淡水魚とココナッツミルクを使った蒸し料理が人気のようです。さらに、牛肉を使った「ロックラック」も定番の一品として愛されています。

クメールの伝統保存食「Sandan fruit」

さて、今日はクメール人の台所に欠かせない伝統保存食「Sandan fruit」についてお話しをします。みなさん、ご存じですか?

実は、私自身、叔母が料理をするたびにこの果実の名前が思い出せず、毎回「ほら、あれ、これ…」と誤魔化していました。でも、それではいけない!と思い、しっかり調べてみることに。

すると、この果実にはさまざまな呼び名があることが分かりました。
「Sandan trees」「Sour tree sandan」「Sandan fruit」など、聞いたことのない名前も多く存在していたのです。そういえば、お気に入りのレストランの名前も「サンダン」でした。

クメール語では「ដើមសណ្ដាន់(ダウム・サンダン)」「សណ្ដាន់(サンダン)」と表記され、発音もそのまま「サンダン」
こうして調べてみると、身近なものでも意外と知らないことがあるものですね。
どんな木?

クメール料理に欠かせない伝統の木

サンダンは、カンボジアの伝統的な保存食として活用される木です。
その実は、スープの酸味付けやタレ・ソース作りに欠かせない食材でした。
しかし、近年ではタマリンドや未熟タマリンド、ライムが主流となり、サンダンの存在は次第に薄れつつあります。

この木は、川岸や運河、小川などの湿地帯に自生し、雨季の冠水時でも幹や根が腐ることなく実をつけます。そのため、昔からクメールの人々の食文化を支えてきました。さらに、冠水によって種が流され、村の庭先に自然と芽吹くことも。
こうして世代を超えて受け継がれ、先人たちはこの貴重な木を大切に守ってきたのです。

@Good Carieer Bring Happiness

サンダンの栽培と収穫

サンダンの苗が果実をつけるまでには、およそ4年の歳月が必要です。
実りの最盛期は雨季(6月〜9月)ですが、それ以外の季節でも定期的に水やりを行えば、安定した収穫が可能とされています。
猛暑や大雨にも強く、比較的手入れの手間がかからない木ですが、近年、サンダンを栽培する農家は減少傾向にあります。

その背景には、高木に実る小さな果実の収穫作業やスライス加工の工程が重労働であるにもかかわらず、市場では安価に取引されるという現実があります。
労働の負担と収益が見合わないため、生産を続ける農家が少なくなっているのです。

収穫は、長い竹細工の棒を使って木の上から実を落とす方法が一般的ですが、完熟した実は自然に地面へ落下します。雨季の冠水時には、船を使って実を集めることもあるそうです。

サンダンの果実は艶のある緑色をしており、大きさは女性の拳ほど、あるいはそれよりやや小ぶりです。ただし、完熟すると加工には適さなくなるため、適切なタイミングで収穫することが重要とされています。

@The Phnom penh post 


サンダンの乳液について

収穫したばかりのサンダンの果実を切ると、白い乳液がにじみ出てきます。
この乳液は、いちじく・パパイヤ・ジャックフルーツ・ミルクフルーツのものと似ており、粘り気が強く、手につくとべたついたり、かぶれることもあります。そのため、果実を扱う際は注意が必要です。

ある農家では、この乳液を落とすために、まず果実を塩水に浸し、それから一つひとつ丁寧に薄切りにしていきます。すべて手作業で行われるため、非常に根気のいる作業です。

さて、ここで質問です。乳液が手についてベタベタになってしまった場合、あなたならどうやって綺麗に落としますか?

答えは最後に書きますので、考えてみてくださいね。

@Yoeurn Nit Official

サンダンの種の色と熟度

写真をよく見ると、果実の種には赤と白の2種類があるのが分かるでしょうか?

赤い種は、果実が若熟の状態を示しており、完全には熟していないものの、未熟なものよりは食べやすくなっています。一方、白い種は未熟な状態です。

酸味を好む人の中には、未熟な果実をそのまま食べる人もいますが、サンダンは全体的に水分が少なく、加工に適しているのが特徴です。

@Good Carieer Bring Happiness

サンダンの乾燥と加工

均等に薄切りした果実は、竹で作られた乾燥台に並べ、太陽の下で天日干しされます。およそ3日間かけてじっくり乾燥させますが、雨が降った際には一旦取り込み、晴れたら再び裏表を干す作業を繰り返します。

サンダンの木は何本も植えられているため、農家では毎日収穫と加工を行い、天日干し・乾燥・出荷を繰り返しながら、安定した収入源を確保しています。

@Yoeurn Nit Official

サンダンの収穫と価格の変動

完熟した果実は水分を多く含むため、乾燥に時間がかかります。そのため、スライスする際には水分の少ない果実と混ざらないよう注意が必要です。理想的なのは、完熟する前にすべて収穫することだと言われています。

しっかりと水分を抜いて乾燥させることで、腐敗や異臭を防ぎ、最大で1年近く保存が可能になります。

ある動画では、コンポンチャム州で加工作業を行う80歳の女性が、サンダンの取引価格について語っていました。それによると、一年の中で5月と6月が最も高値で取引され、1kgあたり13,000リエル(約500円)で売れるとのこと。通常の価格は10,000リエル(約385円)ですが、収穫地や農家によって10,000〜15,000リエルの間で変動します。また、収穫量が少ない年は、1kgあたり20,000〜30,000リエル(約770〜1,150円)にまで値上がりすることもあるそうです。

乾燥させていない状態の果実は、1kgあたり約8,000リエル(約310円)で取引されることが多いようです。

@Yoeurn Nit Official

しっかりと水分を抜いて乾燥させたサンダンは袋に詰めて売人のもとへ。

乾燥したサンダン

サンダンの若葉と調理法

サンダンの若葉はあまり知られていませんが、酸味を加える食材として料理に活用されています。

例えば、カンボジアの伝統料理 「Somlaw Machu Kroeung(សម្លម្ជូរគ្រឿង)」(Beef Sour Soup)では、レモングラス、こぶみかん、ガランガルなどのフレッシュハーブを臼ですり潰し、炒めて香りを引き立てます。そこに肉を加え、塩・魚醤・味の素・プロホック(発酵魚ペースト)で味を調えます。

仕上げに、ボウルに入れたサンダンの果実に熱湯を注ぎ、一度潰してからスープに加えることで、自然な酸味が生まれます。さらに、お好みで刻んだサンダンの若葉を加えると、風味が増し、より美味しく仕上がります。

@SOPHEA AN AMAZING TRAVEL

サンダンを使った酸味のあるスープ

カンボジア料理には、酸味のあるスープがいくつかありますが、これは牛肉と空芯菜を使った一品です。

動画では酸味付けにタマリンドが使われていますが、我が家では叔母の気分次第でサンダンを使うこともあります。サンダンの酸味は、タマリンドやライムとは一味違い、より上品でまろやかな風味が特徴です。料理に奥深い味わいを加えてくれます。

さて、みなさん、答えは分かりましたか。
対処法として。

  1. すぐに洗う:石けんを使ってよく洗う。

  2. こすらない:かぶれる可能性があるので、刺激を与えすぎない。

  3. オイルで拭く:植物油やクレンジングオイルを使うと落ちやすい。

  4. 炎症が出たら薬を塗る:赤みやかゆみが出たら、ステロイド系の塗り薬(市販のかゆみ止めなど)を塗る。

カンボジアでポピュラーなのは3番で、サラダ油を手に塗りベタベタ乳液を落とします。

今回、参考にした動画を添付します。
クメール語の翻訳や異なる表現があったらすみません。クメール語をもっと勉強しなきゃ。

Phnompenhpost.comの記事を添付しますね。
翻訳機能を使って読んでみてください。


最後まで読んでくれてありがとうございます。
またね。

シアヌークビルで民泊airbnbやってます。

SOKOEUN

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そくあん
カンボジア、時に日本。 カンボジア南部海辺街のシアヌークビルで暮らしながクメール食文化について独学で勉強してます。それらに関連する書籍購入や移動費に使わせてもらいます。 皆様の暖かいサポートをお待ちしておりま☺️。