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本当のマジ価値とは何か?心からお客様に向き合うことで気がついたこと/Karorino 窪田
Karorino株式会社でカスタマーサクセスや営業に携わる窪田 蒼起です。
日々、「最強」を目指して事業に取り組んでいます。
異業種未経験からSaaSの業界に転職した僕は、IS・FS・CSを全て経験している、今となっては少し珍しい経験を持っています。その中で、お客様に対しての向き合い方、考え方を変えるきっかけになった内容をまとめていますので少しでも参考になれば幸いです。
異業種未経験からSaaS業界へ、初のカスタマーサクセスに挑戦
過去の経歴はいくつかあるのですが、4年ほど前に異業種からSaaSの業界へ転職しました。転職先の企業は、金沢市にあるITコンサルタントの会社でfreeeのトップパートナーの企業でした。
freeeの複数プロダクトに対して、「失敗が許されない外部のトップパートナー」という立場からカスタマーサクセスに取り組みました。
一番最初は黒船来航ではないですが、これまでに経験したことのないくらい変化の早い業界で、そのスピードに圧倒される毎日でした。その中でも、目の前のお客様に対して適切な価値提供や提案をしたいと思い、日々奮闘していました。
外部パートナーとして、高いレベルでのCS活動を求められる中目の前のお客様に対してとにかくサービスを提供することに必死でした。また、パートナーでしたので実際のエンドユーザーだけではなく、freee自身がクライアント(依頼主)です。
実態としては2つのクライアントの間で、期待値などを厳密に確認しながら、質の高いサービスを提供することが求められる非常に難しい仕事でした。
さらなる高みを目指して、Karorinoでの挑戦
難しい案件に当たるなど壁にぶつかりながら試行錯誤を繰り返し、時間経過とともに、CS活動にも慣れてきたこともあり「より高いレベル、難易度の高い案件に挑戦したい」と思いKarorinoでチャレンジすることにしました。
Kaorinoでは、CSと並行する形でfreeeのインサイドセールス/フィールドセールスの仕事に携わらせていただきました。これまで、自分の中でブラックボックスだったCSの前工程にあたる部分です。
IS活動は過去失注リストにコールをするもので、獲得したアポイントは僕が商談をするスタイルでした。最初は1アポに苦戦しながらも、改善を重ね何とかアポイントが平均的に取れるようになってきました。
CS活動だけを行なっていると、ISの難しさ・FSの大変さはイメージが湧きづらく正直「なぜこの要件で取ってくるんだろう?」と思うような案件もありました。
ですが、このISとFSを経験したことでそれぞれの役割における苦労やKPIが衝突している現状を肌で知ることになりました。その中でも、私の考えに大きな影響を与えたのが「営業活動」での出来事です。
営業活動で感じたのは、お客様への圧倒的な不公正さ
営業という立場で、お客様と関わりヒアリング・提案を行う立場になるとこれまでと違った感覚を持つようになりました。目的や課題に対する解像度も
ただ、何よりも僕自身がこの業界の課題だと感じたのは、お客様に対する不公平さでした。
SaaSのことをあまり存じ上げていない方であったり、調査・比較が苦手なお客様も当然いますよね。驚いたのが、契約プランを見た際に「このサービス契約する必要なくない?」と感じたお客様が何社もありました。
話を聞いてみると「営業担当に勧められた」「必要だと思ってたけど違うの?」みたいな回答がほとんどだったんです。この不公平さや矛盾に対して、僕自身は全く納得できませんでした。
もちろん、営利企業で営業という立場である以上、数値が求められることは当然です。ですが、それはお客様に対して最適な提案をした結果積み上げれれるものではいないでしょうか?
初回商談で 「お断り」 をする勇気
そんな矛盾した気持ちを抱えながら、悩む毎日だったのですがある時ふと思いました。「本当に課題や目的にマッチしないなら、提案断ったら良いじゃないか?」お客様に正直に伝えればわかってもらえるのでは…そう思いました。
そしてある日の初回商談で、あるお客様に出会いました。会計ソフトの検討だったのですが、ヒアリングするとどう考えても検討する軸が違うんです。
お客様「会計ソフトは固定したまま、仕訳データを使っていくつかの軸で分析して経営分析を行いたい」
本音を言うとめちゃくちゃビビりました。ここで、当たり障りなくサービスの説明をしてデモやって、30分もすればお客様はニーズが違うことに気づいていただける。そうすれば嫌われずに済む。
ですが、僕は「その30分はお客様にとってマジ価値なのか?」と思ってしまいました。
freeeのカルチャーのど真ん中にあり、freee を freee たらしめるものであり、freee の世の中へのコミットメントでもあるのが「マジ価値」(ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする)です。
勇気を出して、「御社のニーズは正直合わないと思います。理由はxxで、本来はBIツールと呼ばれるものがあって、それで行うものなんです」と正直に説明しました。
すると、お客様は困惑した様子で「今日は何の時間だったんだ!」と怒られてしまいました。当然ですよね、1hのMTGに複数人参加いただくために調整いただいていたので無理もないです。
MTGはキャンセルになり、すぐに客様にメールを打ちました。
先ほどの続きですが、BIツールにはこんなサービスがあります。
サービスA:特徴xxx
サービスB:特徴xxx
サービスC:特徴xxx
※各サービスのリンク付き
正直、私もご提案できるほど明るくないのですが、御社のご要望でしたら上記のサービスを検討されると良いかと思います。
昔、他のお客様から聞いた検討の軸は下記です。
xxx
xxx
すぐにお客様から電話がかかってきました。
「先ほどは、カッとなってすみません。いただいた内容はめちゃくちゃ参考になりました。これから各サービスに問い合わせてみます。何かあったら、窪田さんに相談しますね!」
断っても提案を求めていただける不思議
そんな経験があって以降、お客様に正直であろうと思い、初回商談で確実にニーズが異なる、検討方法が違うお客様には業界のことや検討方法について話すようになりました。
するとある時、提案を断ったお客様から「もう一度時間をいただき、弊社に提案をしてもらえないか?」と連絡をいただきました。当初はニーズがあっていないお客様だったのですが、僕の話を聞いて改めて目的を整理・検討していただいたとのことです。
そして、そのお客様には無事サービスを契約いただいたのですが、僕には勿体ないくらい感謝の言葉をいただきました。
お客様に正直であり、提案を断ること。そして、その上で求められている数字を達成すること。正直、めちゃくちゃ不安に思うこともありますが、お客様の言葉を聞く度に「自分の取り組みは外れていないな」と思います。
どこの企業のCSにも似たような課題がある感覚
上記のように心境変化が生まれたと同時に、CSの業界課題みたいなものも肌で感じるようになりました。
KarorinoではLayerXのカスタマーサクセス事業を支援させていただいています。私もプロジェクトに関与する形で、実際にオンボーディングやお客様への支援など担当させていただいております。
参考:事例動画
CS業務を行う中で感じたのが、「freeeの時と同じような課題感」があるといったものでした。どの会社も忙しく、目の前のクライアントに向き合う中で緊急度の高い課題に向き合っているため重要だけど、優先度が中くらいの課題はどうしても後になってしまいます。
どの会社も試行錯誤やトライアンドエラーで、全力で試作に取り組まれていましたが解決しきれない課題がある現状に対して「パートナーとして」何ができるか?を常に考え続けています。
CSの役割とは?
複数の会社でCS業務や営業活動の経験をした結果、僕自身のCSに対する考え方にも変化が生まれました。営利企業である以上、LTVの向上やMRRはもちろん達成する必要のある指標です。
その前提を置いた際に、「お客様にとって本質的かつ最適な提案をくれるパートナーであり続けること」これがCSの重要な役割の1つだと考えています。
お客様、1人1人とお話しすると皆様ミッションを背負っていたり、現状を変えようとして全力で取り組まれていたり…目的やビジョンは様々です。ヒアリングをする中で、その企業の目指す姿や実現したい世界観を伺っています。
その企業・個人が描く理想像と現状との差分(ギャップ)を解消できるように伴走することや、将来的な部分から逆算した取り組み・サービスの提案を心がけています。
すると不思議なことに、自然とクロスセル・アップセルが生まれたり、お客様からシステム以外のこと(社内事情含む)を相談いただく機会もかなり増えました。
この考え方は、数値を達成することと衝突する部分も多い上に夢物語に聞こえるかもしれません。ですが、お客様に対して真摯に「マジ価値」であり続けること。これ以上の取り組みはないと考えています。
最後に
私は、この歳になっても挑戦を諦めることはできていません。正直なところ、「いっそ割り切った人生を送れたらな…」と思わないこともないです笑
ですが、ある種開き直って「限界まで追求する」ことに取り組めればと考えています。
最後になりましたが、長文にお付き合いいただきましてありがとうございました。これからも、カスタマーサクセスの取り組みを中心に積極的に発信していければと思いますのでよろしくお願いいたします。
2024年12月4日
Karorino株式会社 窪田 蒼起
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