秋の散歩とチュロスとホットチョコレート
休日、夫とふたりで谷根千を散歩した。歩き回って足が疲れてきたころ、静かな住宅街のなかに一軒の喫茶店を見つけた。細い木が生えている小さな庭の奥にあって、うっかり見落としてしまいそうなお店だった。
店内は満席とのことで、庭のベンチで待つことになった。座ってぼうっと庭を眺めた。庭の灯りの下に大きな植木鉢がひっくり返して置いてあり、そのうえに黄色い琺瑯のポットがあった。灯りに照らし出された黄色いポットは、不思議な存在感がある。蚊取り線香の匂いを感じながら、そのまましばらく佇んだ。
思ったよりも早く店員さんに声をかけられ、席に案内された。どうやらチュロスとホットチョコレートのセットが看板メニューらしい。スパイスチュロスとホットチョコレートを頼んだ。
写真撮影が推奨されていないということだったので、お店の公式Instagramから写真をお借りします。
店内は静かで、チュロスを揚げる音がよく聞こえる。雨音にも似ていて、ほの暗さも相まってなんだか眠たくなった。
チュロスは甘さ控えめで、サクサクもちもちでとてもおいしかった。ホットチョコレートはとびきり甘くて、チュロスとよく合う。
実は千駄木あたりに引っ越そうかと考えていて、今日は街の下見も兼ねて谷根千を散策していたのだった。ところが今日実際に街を歩いてみると、あまりしっくりこなかった。平日帰りが遅いので、買いものも不便かもしれない。遊びに来るには素敵な街だけど、住むのには合わないかも……という結論に至った。
そのあとはバーに行ったりガチャガチャをしたりして、家に帰った。数ヶ月後はどこに住んでいるんだろうなあ。引越しってむずかしい。物件どころか街すら決まらない。
似たような配色の文藝春秋のうえで嘶く(たまたま)
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