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母親が「通りもん」を知らない

京大卒元メガバンカーの総一郎です。


昨年末は福岡旅行から直接実家に帰り年越しをした。

当然福岡の「通りもん」をお土産で買って帰ったのだが、驚くべきことに母親は「通りもん」を初めて食べたとのことだった。

土産話として福岡で「もつ鍋」を食べたという話をしたら、今度は、母親はもつ鍋を食べたことは一度しか無いと言う。

それも、昨年僕がふるさと納税の返礼品で食べたのが初めてだったというのだ。

僕らは今非常にありがたい時代に生まれたんだなと改めて感じた。

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▼母親が「通りもん」を知らない
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僕はおそらく同年代の人たちよりも国内国外含め多くの場所に足を運び、多くの食に触れてきたと思う。

ただ、それを差し引いても母親の経験値はあまりに低い。

だが、改めて考えてみればそれもそのはずだ。

今でこそLCC(Low Cost Carrier、格安航空会社)がこれほどまでに普及し、沖縄だろうが北海道だろうが、九州だろうが、月一で行っても経済的に苦しくなくなっているが、10年20年前はそんなものは存在しなかった。

東京から福岡、沖縄、北海道に行くだけでもそこそこお金がかかったし、海外なんてそれはもう一大事だったはずだ。

だから色々な国や地域に行って現地の食を堪能するなんてことは、60代の人たちが若かった頃は出来なかったはずだ。

LCCが出来、育児が手離れした頃にはそんなに頻繁に自分から旅行に行こうなんて思う歳でもなかったのだろう。

だから母親は「通りもん」や「もつ鍋」も知らなければ、中華料理でお馴染みの「よだれ鳥(口水鸡)」も知らない。


LCCの存在ももちろんだが、日本の各地のご当地料理を食べさせる飲食店の存在も大きい。

沖縄料理屋、九州料理屋、名古屋のひつまぶし、大阪の串カツやたこ焼き、仙台の牛タン等など、

今では東京でいくらでも食べれるようになったが、10年前はそんなこと無かった気がする。

タイ、ベトナム、韓国、台湾等、海外の特定の国の料理を提供する店も増えているような気がする。

そういった料理屋が今では首都圏には溢れているが、主婦がわざわざお世話になる機会も少ない。

となると、きっとナシゴレンだって数えるほどしか食べたことが無いだろうし、トッポギやサムギョプサルも数えるほどだろう。

ポッサム(蒸し豚をサンチュで巻いていただく韓国料理)なんてものは言葉すら聞いたことが無いはずだ。

それらを当たり前のように、日常的に食べることが出来る我々世代は本当に有り難い時代に生まれたんだなぁと思う。

一方で、知りすぎているというのは刺激に慣れすぎて物足りないとも言える。

海外まで足を運んでいざ現地料理を堪能しようと思っても、日本に有るベトナム料理屋や韓国料理屋の方が美味しく感じてしまったりしたら興覚めだ。

色々な国に旅行したいという動機が一つ削がれてると言えなくもない。

物事は一長一短なので、刺激に慣れすぎて退屈を感じやすいとも言えるが、

それを差し引いても僕は今の時代に生まれて本当にありがたいと感じている。

日常の何気無いところにも「有難い」を感じたこの気持ちを大切にしていきたいところだ。

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