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§16「五段砧」の調絃を考える お箏を弾く人のための「初めての楽典」
第16回 「五段砧」の調絃を考える
お稽古が進んでいくとおさらいする古典曲も複雑なものになっていきます。「名取」や「師範」という資格を受ける流派でお稽古をなさっている方なら「五段砧」や「八重衣」などは必ず身に付けなくてはならないでしょう。
「八重衣」は石川勾当が三味線の地歌として作曲した音楽で、八重崎検校がお箏で演奏するパートを作りました。このような場合は「作曲」とは言わずに「箏手付け(ことて
§15 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?⑤ お箏を弾く人のための「初めての楽典」
第15回 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?⑤
陰旋法系の調絃はどの絃に宮音があるかによって「宮=二」なら「雲井調子」、「宮=三」なら「中空調子」、「宮=四」なら「岩戸調子」、「宮=五」なら「平調子」、「宮=六」なら「曙調子」となることを説明しました。
音の高さに関わらず「宮音」の位置が重要だということです。
私たちは「五(一)」を「D(壱越)」に合わせた「平調子」にはよく親しんで
§14 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?④ お箏を弾く人のための「初めての楽典」
第14回 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?④
「平調子」「雲井調子」「中空調子」「岩戸調子」「曙調子」は「陰旋法」によって作られている調絃方法であることを説明してきました。
今回はお箏の13本の絃の側からまとめてみます。
その前に、ここで一度「宮・商・角・徴・羽」について正確な説明をしなくてはなりません。
第6回で「宮・商・角・徴・羽」は日本音楽では「階名」として働いていること
§13 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?③ お箏を弾く人のための「初めての楽典」
第13回 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?③
「鳥のように」の調絃
「鳥のように」の楽譜には「雲井調子より六・斗を1音上げ、五・十を半音上げる。巾は九の甲、一は四の乙」という指示があります。もし「平調子」を起点として調絃を開始するとしたら「平調子」から「雲井調子」に移行するために箏柱をまず4つ移動しなくてはなりません。最初が「平調子」ならば13本の絃のうち10本の音が変わります。最
§8 五=D(壱越)の陰旋法を作る お箏を弾く人のための「初めての楽典」
第8回 五=D(壱越)の陰旋法を作る
今回は、第7回で歌ってみた陰旋法を実際のお箏を使って再現してみます。歌うのではなく、頭に思い浮かべた(実際に声に出して歌いながらでももちろん構いません)音を、箏柱を動かしながら見つけていきます。
まず準備したのは「一(五)」を「壱越=D」にして平調子に調絃したお箏です。この時の調絃はみなさんが普段行っている方法で構いません。もちろんチューナーを使っても構い