下水道と往年のクイズ番組【第11回ワッティーってなに?】
『プノンペンの奇跡』を知っているだろうか?
プノンペンでは蛇口をひねると、飲める水が出てくる。日本人にとっては当たり前に感じることだが、東南アジアはもとより、ヨーロッパなどの海外では珍しいことだ。
水にあたってお腹を壊すということは、アジア旅行では定番あるある。海外生活ではどのような形であれ、飲料用の水ははミネラルウォーターが常識だと思う。
これはまさに軌跡的なことなのだ。
カンボジアの首都プノンペンの上水道施設整備は、日本の北九州市などが主導で行ったプロジェクトだ。国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)パートナーの公式ウェブサイト内においても成功事例として取り上げられている。日本でも『世界ふしぎ発見』や色々な番組でも取り上げられているので、知っている方もいるのではないだろうか。
そして上水道施設整備の次に、北九州と日本政府が狙うのはカンボジアの下水道整備だ。つまり、汚い水を綺麗にするプロジェクトだ。
しかし『蛇口をひねれば24時間綺麗な水が飲める』ということに比べ、トイレ排水などの汚い水を『川や海に戻すために綺麗する』ということはわかりずらい。なぜ汚くなった水をわざわざ綺麗にするのか?カンボジア国民の理解できないだろう。
そこで、ワッティーとインディーに白羽の矢が立った。カンボジアの学生向けにて、下水処理を説明する啓発アニメーションを製作することになったのだ。
カンボジアの象徴アンコールワットには治水システムが備えられていた。実はカンボジアと水は縁が深かったりする。
しかし下水処理について説明をしはじめると、小難しいしわかりづらい。そこで、往年の日本のクイズ番組のパロディーをすることにした。
オープニングは『クイズヒントでピント』のモザイク当てクイズ。アンコールワットに見せかけて、『水』というひっかけ問題からスタートする。
続いては『クイズ100人に聞きました』。個人的には、ちょっと世代ではないけれど有名クイズ番組。「水の使い方ってなに?」を、本当にプノンペンの街の一般の人に聞いて回ったのだ。
そして、『クイズミリオネア』などでお馴染みの4択クイズ。「水はどこから来たのか?」という問題と「水はどこへ行くのか?」という二問を連続して出題。水は来るところも、行くところも一緒ということを理解して貰うい、水の循環について説明する。
そして最後は『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』から、「何を作っているのでしょうか?」の早押しクイズ。「綺麗な水」を作るための工程を出題。途中、インディーの小ボケも交えながら、北九州市にある下水処理施設の映像を見ていく。
このアニメーションは日本の国土交通省と北九州市と共に製作した。
こういった北九州市のようなインフラ技術を海外に輸出をする事例は、人口が減っている地方自治体にとって税金ではない外貨獲得の大きな可能性だったりする。国土交通省は、カンボジアのようなまだインフラが安定していないような国々に、日本の地方自治体が海外進出しやすいようにサポートしているのだ。
とはいえ『のまどわーかー』と言いながら、ふらふらとカンボジアにやってきて仕事をしている私が、国土交通省の国家公務員と共に仕事をすることになるとは想像もしていなかった。
ことの始まりは、カンボジアのスターバックスで国土交通省の田本典秀さんと北九州市の伊藤智則さんを紹介されことだった。
一介のカンボジアのノマドクリエーターと、国土交通省の国家公務員。あまりにも不釣り合い。
しかしこのご縁が、カンボジアのみならず色々な下水道のプロジェクトに関わらせて貰うことになる。
世の中不思議なものだ。
つづく。