ggwpが僕にくれたもの(自信を失うことが如何に生活に影響を与えるかということ)

僕は精神疾患だ。診断書には抑うつ、不眠、焦燥感、無気力という文字が並べられた。

自分は何か一つくらいできる。そう思っていたことが僕にもあった。
歌を歌えば超有名歌手になれたかもしれないし、楽器を弾いたらミュージシャンになっていたかも。漫画を描き続けていれば多忙な毎日だったかもしれないし、絵を続けていれば何か話くらいはもらえたかもしれない。

でも結局どれも続かなかった。元々飽きっぽいという事実は確かにあるが、それ以上に上達する気がしなかったし、努力の仕方もわからなかった。
上ばかり見て、進める気がしなくなってしまったのだ。よりにもよって芸術とかいう自己表現の分野でそうなってしまった。

高校の部活でバンドをやめたいといったとき、このバンドにはお前しかいないのだと、いつもなんにも言わなかった男どもが口をそろえていった。これもあれもできるようになっていく私は十分やっていると。
僕は泣いた。彼らのことで泣いたことは数あれど、嬉しくて泣いたのはそれぐらいしかない。
今でも彼らに出会ってバンドをしたら同じことを言ってくれるのだろうか。僕は不安だ。かけらと言っていいほど自信がない。


大人になり生活を重ねていく中で、褒められることや、労われることは減っていく。
僕は今ホテルで配膳をしているが、昔からの手の遅さでいつも叱られてばかりだ。ベースの時はもっと早弾きできるのに。不思議だ。

僕は家事が苦手だ。これについて褒められたことはまずない。叱られることのほうが多かった。細かいことは気になって徹底的にやるのに。不思議だ。

自信が消滅する音を聴きながら子育てをした。辛いときは離れろときつく言われていたので離れた。戻ったら散らかった部屋。また叱られる。満足に子供を見ることもできない。


ついぞ自信は失われた。僕は自信を失ったために「どうせやっても失敗するのでやっても無駄。」「たとえうまくいっても以前は当たり前にできていたこと。人は当たり前にできること。自分には何もできない。」と思った。そしてじゃあ生きていても食費がかかるだけのごみくずでは?と思いじゃあ死ぬかー誰にも愛されている自信もないし子供を他の人より幸せにしてあげられる自信もないし。と比較的に軽いノリで死んだ。

まあ当たり前だが生きていてこうして記事を書いているわけだが。
それからの日々は地獄だった。
以前のノート

この記事でも少し話題に出したが私はその後半年ほど一日に大量の薬を飲んでいた。7,8錠くらいはあったろうか。
その中には思考を弱くする薬と、精神安定の副作用で健忘が出る薬が混ざっていた。(健忘が出ると知ったのは病院が変わって、つい最近のことだ。たくさん飲むのはよくないらしい。)

毎日ぼんやりしていた。
やりたいことをやれと言われたので、ゲーム友達のおススメしてくれた缶のミルクティーを飲みながら、高いピンヒールでジャングルジムのてっぺんへ上って、空に向かって歌を歌った。
絵を描こうとしたが、まともな思考もなく創造もできなかった。わずか30秒で僕のスケッチブックは今までないぐらい濃いタッチで真っ黒に塗りつぶされた。
歌はなぞるだけでもいい。だから毎日大声で歌った。苦しいのも悲しいのもわからなかったのかわからなくしたのか歌った。歌ってよくわからないリズムで踊った。

また、健忘はとにかくひどかった。迷惑をかけた友達に何をしたか忘れたり、約束を忘れたり、日常生活の活動も忘れた。買い物に行っても何かを忘れ、メモに書いても書く段階で忘れていた。

自分が思考もできないこと、記憶もできないこと。そんな中で時間だけが過ぎていく。周りは進んでいるのに、子供も成長しているのに、自分だけ時間が止まってしまった。そんな感覚だった。
ますます自信を失った僕は、趣味だったゲームも判断力、健忘に欠けひどくなっていくばかりだった。趣味も、活動も、過去はそこになかった。僕は一度まさしく未遂ではなく死んだ。


自分は何か一つくらいできる。そう思っていたことが僕にもあった。
歌を歌えば超有名歌手になれたかもしれないし、楽器を弾いたらミュージシャンになっていたかも。漫画を描き続けていれば多忙な毎日だったかもしれないし、絵を続けていれば何か話くらいはもらえたかもしれない。

でもどれもできなかった。歌に関しては歌えていたが、もはやそれは歌ではなく叫びだった。
どれも必ず失敗するから選べなかったのだ。

もし貴方が目の前にくじを出されて、そのどれもがはずれだとわかっているのにそのくじを引こうと思うだろうか?
もしそれでもと引く人もいるかもしれないが、僕は引かない。そういう人間だった。


仕事で皿を運んだ。不備で一枚不足していた。なんでなん?と言われた。
たまにはと洗濯物をした。フードの干し方が悪くて愚痴を吐かれた。

私にはもうこれらがすべて自分を責めているようにしか聞こえなくなってしまった。もう自分を責める声を聴きたくなかった、これ以上生きている自信を無くしたくなかった。歌った。歌った。誰の声も聴かなくていいように。

子供になんで???なんでそうやってやること増やすの????ママなにもできないんだよ と泣いていた毎日。
そんなことばかり言いたくなくて、子供を見る自信がないのでスマホを見ていた、両親に叱られた。


何か言われるたびに「やっぱり自分ってなにもできないんだ」と「死ぬ前は当たり前にできていたのに」が私の頭を浮遊した。
もちろん仕事や外には隠していたけどそれが爆発して荒れることは、今もよくある。


ところで、貴方は「ggwp」という言葉を知っているだろうか。

私は趣味でリーグオブレジェンドというゲームをプレイしている。
このゲームはチームバトルで、プレイヤーがチームを組んで試合をする。
病院には、本当は止められていた。いい影響がないだろうということだった。
実際プレイはうまくなく、去年も今年も一番下のランクにいた。罵られることも多く、ゲームをやめたくなることも多かった、今も正直ある。

だが、それでも。
試合後のチャットに一言どこの誰とも知らない人が書いた「ggwp」。
Good Game Well Play、楽しかった、いい試合だったね といったような意味だ。
この敵も味方も超えた「ggwp」がすごく嬉しくて刺さった。私はここでは一つの戦力として数えられているから、できることをやろう、と思えたのだ。
「ナミ(僕の愛用するキャラクターの一人だ。)最高だったよ!!ありがとう」「負けちゃったけどいい集団戦だったね」「あそこであのスキル撃ったのかっこよかった」

リーグオブレジェンドは暴言が多いということも聞く。実質その通りだが、こうやって言ってくれるプレイヤーもたくさんいる。
友人とやるときは友人も私の健忘に気を使って話してくれたり、細かいところをすぐ褒めてくれた。


そうして、ゲームの中で少しだけ自信を得た僕は周りを見た。
バイト先でも、自宅でも、私は戦力として数えられているということに気が付いたのだ。それならば、自信がなくてもできることをやろう。やれることをやろう。そう思った。

そして私も周りに配った。完全に自信を無くした私だからできることだ。
「今のスポットナイス!次はこうできるともっといいよ」
「GoodJobですよ」
「いつもありがとう」
「これ私がゲーム終わったらするけんおいといてね」
「〇〇、最高に格好良いプレイだったよ!ggwp!!」

如何に周りの自信を無くさずに士気をあげられるか、また失敗やできてないことを伝えるのか。
そういったことを考えながら、主に自信を失った、疲れた顔の人に「ggwp」を振舞い始めた。


僕が死んだときや、その後のように辛い思いをしてほしくない。だからつぶそうとその芽をとにかくつぶした。

でも結局、僕は自分に自信が持てなかった。自分は何度褒めてもほめられないからだ。


その時、周りからも返ってきたのだ。
「スポットレクチャーありがとうございます、助かりました!」
「おーそれやってくれてんのん、ナイスすぎるわー」
「こっちこそいつもありがとう」
「しんどい時は置いとくけどできるときはやっちゃうね、ありがとう」
「そっちこそ助けてくれてありがとう、ggwp!!」

この優しい言葉たちが、僕もまだここにいていいんだと教えてくれた。
とても大事な友達の一人に、「僕はここにいてもいいのか」とよく聞くが
「一緒にやりたいと思ってるから当たり前だろ、sochateaしかいないんだぞ」と言われた。正直泣いた。彼らのことで泣いたことは数あれど、嬉しくて泣いたのはそれぐらいしかない。
今彼らに出会ってゲームをすると、同じことを言ってくれるのだろうか。僕は、ほんの、ほんのすこしだけ自信がついた。

そしてその自信は伝播した。
絵を、文を、歌を。創造をできるように少しづつなってきたのだ。今貴方が読んでいるこれも僕が書いている。なんてすばらしい。


だけれど、人間というのはそう簡単に変わらないものだ。
ならば、と、自信を得るために私は外見を変えようと思った。中身はきっと時間がかかってしまうから。

今現在の僕はメイクや化粧品について勉強している。勉強できるか?自信はない。でも、皆がここにいいと言ってくれるように、僕はここにいたい。だから必ず、一日沢山ではないけれど、簡単なものだけれど。少しずつ続けているし、これからも行きたいと思う。


僕は一度死んだ人間だ。怖いものがないといえば嘘になるが、失うものは減った。
優しい言葉
お白湯
お気に入りのアンクレット
大好きな音楽
そんな自分が自信をもって好きだといえるもの。

それらで足りない自信をたっぷり補ったら、また次に向けて歩き出そうと思う。ゆっくり、ゆっくりでいい。いつか早くなる、追い越すんだ。

精神病持ちの邦楽好きでゲーム好き。健忘有り。 文章を丁寧に書くよりもその場で思ったことを勢いで書いていきます。 主に音楽、ゲーム、日常(疾病)についてです。