#48 プロジェクトとパッション
"プロジェクトとパッション"を読了。
今年デザイン(論)を学んでいる中で、エンツォ・マーリ氏の本を読んでみたくなり本書をチョイス。
本書はデザイン作品やマーリ氏のプロジェクト詳細に関する解説本ではなく、プロジェクトオーナーであるプロジェッティスタのスタンスやプロジェクトそのものについて解説している内容。
少し取っ付きづらい書きぶりだけど、内容自体は一貫している。
そして、本書のところどころで若者の育成や学生たちの教育について熱く語っている箇所があり、非常に好感が持てる内容!
特に印象に残っているのは下記の3点。
芸術を機能させるということは、定まっている合理的根拠に背くことである。よって、芸術というプロジェクトが「1+1=2」という答えを導くことはあり得ず、超越的なものの1がさらに加わることによって「1+1=3」となるのではないだろうか。
プロジェクトの元来のクオリティとは、物質的にモノを実現すること以上に、人々の振る舞いを修正する能力にあるのだと言える。
想定されるすべてのプロジェクトの中で最も大切なのは言うまでもなく、若者の形成、新たな作り手の養成、と言うプロジェクトである。
以下、学びメモ。
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・芸術とは常に、感知可能な世界の外にあるもの、超えたところにある何かを示唆するのであって、それは超越性のアレゴリーとしての表現に他ならない。アレゴリーとは、知覚世界の外にあるもの、それを超越したものである。
・★芸術を機能させるということは、定まっている合理的根拠に背くことである。よって、芸術というプロジェクトが「1+1=2」という答えを導くことはあり得ず、超越的なものの1がさらに加わることによって「1+1=3」となるのではないだろうか。★
・芸術行為とは、過剰に満ちた知覚世界の迷路をいかに潜り抜けるか、その道筋を探す行為である。
・プロジェクト、つまりカタチのクオリティに影響を与えるであろうと思われる要素:
倫理的な構成要素
文化的なクオリティ
生産ツール(知識)の所有
プロジェクトと生産活動の主体が一致する理想的モデル
・★プロジェクトの元来のクオリティとは、物質的にモノを実現すること以上に、人々の振る舞いを修正する能力にあるのだと言える。★
・理想のプロジェッティスタの役目は、製品のクオリティの理想的な保証人である。
・★知識は先天的なものでなければ与えられるモノでもない。新しい経験は全てそれ以前の経験を認めるか否定するか、いずれかの記述に基づいて発展していくものだ。以前の経験が否定されると、知識によってその拡張を試みる。これが実践-理論のプロセスである。★
・プロジェクトとは、一つのプロセスの限定の中に巻き込まれうるすべてのものから、何を最優先すべきか、段階を追って突き止めることによって実現するモノである。
・★想定されるすべてのプロジェクトの中で最も大切なのは言うまでもなく、若者の形成、新たな作り手の養成、と言うプロジェクトである。★
・芸術とプロジェクトのクオリティは「何を」表現するかが問題なのではなく、「どのように」表現するかにかかっている。そしてまさにこの「どのように」が、人々にとって有用であり得るのである。
・学生たちは、少なくとも三世代は遡ることを薦めたい。古典のマエストロたちからの教えを身につけて、現代が理解できるようになった時に、初めて現代のマエストロを探しにいけば良い。
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