20240903「意味の日用品」

このカップも
その匙も
いつも使ってる物たちの
酷使しつつ
手を添えて
毎日の暮らしを共にする
ないならないで
いいかもしれない
けれどもそれがないと
少し寂しいし
在った方がいいのなら
手当てしておこう
傷だらけでも
ずっと使ってるものなら
全然気にしないし
かえってそれが馴染んでいる
どれもがわたしを支えている

いい香りがする木片と
削ったコーヒーメジャーや
マドラーも
どれもがお気に入りだから
いつも眺めて
いつも使っている
それがわたしだとは
思っていなかったけれど
馴染む肌触りや
あれこれの日用品
誰かの経由で
ここに来てくれて
随分と役に立って
生活を成り立たせている
誰かの仕事
わたしの才
皆役に立っている

いい感じの按配で
余白を講じて
物ものを浮き立たせる
そこに居てくれて
別の視点で揺れながら
風が流れて来るから
ふと見つめてしまう
蔑ろにはしない
きっとわたし以上の仕事をする
誰かのアイディア
誰かの仕業
使いこなして意気揚々
小さな存在の大きな仕事
手にとって存分に働けばいい
わたし経由で誰かの方へ
その意味らしきを放てば
知らない誰かへも届くのだろう