筑波大学DACセンター監修『ヒトはそれを『発達障害』と名づけました』を読んだ話。
TwitterでWeb漫画の事を知り読んでいて、書籍化が決定してから発売を楽しみにしていました。
漫画のキャラクターが可愛くてとっつきやすいのですが、何と発達障害への理解の助けにとイラストが無料配布されています。
筑波大学さん太っ腹。ギャラリーを見ているだけでも幸せです。
発達障害も個性もバラバラなキャラクター達
「発達障害」と一言で言っても、人それぞれ特性が違います。同じ診断名でも強み弱みが全く別物だったり、なんて珍しくありません。
当然ながら性格もバラバラです。
ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)を持っていたりいなかったりするキャラクター達を紹介します。
ダックス(ASD・ADHD・LD・ダックスフンド)
この本の漫画の著者で、3種類の障害を全て持っています。穏やかな性格ですが自分より強い特性のメンバーに振り回されたりも。
アサダ(ASD・ネコ)
対人コミュニケーションが弱点ですが、周りと仲良くしたい気持ちはあるようです。いつもお気に入りのタオルを持っていて、勝手に触られるとキレます。
エドヒデ(ADHD・トリ)
パワフルなアイディアマンで行動派。たまに衝動的な言動で怒られたりもしますが、それでもめげません。初対面の人にもフレンドリー。
ルディ(LD・サカナ)
文字や文章の読み書きが苦手ですが、問題文を音読して貰ったりすると実力を発揮します。漫画やイラストを描くのが得意で、朗らかな頑張り屋さん。
グレー(グレーゾーン・恐竜?)
大学入学をきっかけに様々な問題が表面化、そんな時に「発達障害」と出会います。診断は下りていませんが、ダックス達と共に自分のトリセツを作ろうと奮闘。
ニュート(定型発達・恐竜?)
グレーの幼馴染み。発達障害ではありませんが、グレーを見て来ているので「発達障害」については何となくわかったようです。
理解されるとは限らないけれど
ダックス達には、周囲に理解されず傷ついた経験があります。特にアサダは両親にすら特性を認めて貰えなかったため、今もわだかまりがあるようです。
そこで登場するのが自分のトリセツ。自らを理解し、周囲に理解して貰うために「得意な事」「苦手な事」「助けて欲しい事」をまとめたものです。
ダックスが例として、インタビュー漫画にしたカメさん・ウサギさん・ネズミさんのトリセツを紹介しています。
ただ、いくらトリセツなどで説明しようとしても「発達障害」が理解されるとは限りません。
世間には未だ偏見もありますし、身近な人だからこそ受け入れられないと言う事もあるでしょう。
そんな寂しさも描いてくれているのが、私にとってこの本の好きな点です。
「発達障害」は、人と人との間、社会の中で問題になる障害だと思います。他人とはどうしてもわかり合えないところがあるし、完全にわかり合う事も難しい。良く考えれば当たり前なんですよね。
社会で生きて行くのに困り事を抱えざるを得ない特性。
ヒトはそれを「発達障害」と名づけたのでしょう。
※ヘッダー画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借り致しました。ありがとうございました。