2023年 読書記録 #5『これはちゃうか』
さて、今回私が紹介するのは
『これはちゃうか』加納愛子著
です!
Aマッソ
なんと本作、お笑いコンビ、Aマッソの加納さんが初の小説集だそうです。
私はAマッソというコンビはもちろん知ってはいますが漫才をテレビで数回見たことがある程度の知識しかありません。
特にファンというわけでもないのになぜ手に取ったのか。
なんとなく、ですね。
あえて言うならジャケ買いというやつです。
書店でうろうろしていたら真っ赤な表紙が目に付いて、
あー芸人さんが書いた小説か、
どれどれ、どんな話なのやら、
帯を見てみると、
なるほど、なんとなく面白そうだ。
というわけで買って読んでみることに。
実は初めて
最近では芸人さんが小説を書くこともさほど珍しくはないと思う。
その中でも有名なのはやはり芥川賞も受賞したピースの又吉直樹さんでしょう。
しかし実は私は芸人さんの小説を読むのは本作が初めて。
正確に言うと、又吉先生の『火花』は読もうとしたことはありますが割と序盤で挫折してしまったので、最後まで読み切ったのは本作が初めてです。
さて、というわけでほぼ初めての芸人さんの小説、なんぼのもんじゃいと読み始めたところ、これが面白いのなんの。
目の付け所がシャープだね
さすが芸人さんと言うべきか、着眼点が面白いと感じる作品が多かった印象です。
あとこれも芸人さんならではなのか、全体的に会話が面白いです。
漫才のように爆笑をかっさらうようなものではありませんが、思わずくすりと笑ってしまうような会話が多かった。
これは私の個人的な好みの話だが、小説にかかわらず映画や漫画、ドラマでも会話が面白いものは面白いという持論がある。
本筋には関係ないように思えるような何気ない会話でも面白い作品は面白いのである。
紙は細部に宿るというやつだ。
そういう意味でこの作品は私の好みドストライクと言える。
それだけではない
但し発想力勝負だけでは終わらないのがこの作品の魅力をさらに引き上げている。
着眼点や会話の面白さは収録されている6篇に共通するものだが、かといってすべて読み味が似ているというわけでない。
日常の一部を切り取ったようなものから少しファンタジックなものまで、最初から最後まで一切飽きることなく楽しめる作品であった。
これは是非とも今後も書き続けてほしい。
好き
本作、正直に言ってめちゃくちゃ好みです。
大好きです。
もはや加納さんには才能しか感じない。
今後は是非とも長編にも挑戦していただきたいものです。