医学論文解読 : βカロチンの直接摂取 (2)
800件以上の研究(6つのランダム化比較試験を含む)、40000人以上の検査データから、βカロチンのがん抑制機能は認められなかった。なお、論文の分析結果は大体20000人ずつで摂取組と非摂取組に分かれたグループ分けとなっている。
βカロチンを含む野菜や果物には人体へ有用な効果が認められているが、βカロチンそのものの摂取には有用性は認められなかった。より重要なのは、むしろ死亡率やがん発生のリスクが高く出ているという逆効果が本研究によって認められている点だ。
「栄養主義(nutritionism)」という近代的な言葉があるが、健康に関する有用な摂取は食物を中心に考えるべきであり、栄養素で決めるものではないということだ。サプリメントに関しても特殊な症状の患者を除き、一般の方が使用する分には十分注意が必要だ。
「βカロチン」ではなく「人参」を食べよう。