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#35『めぐり逢いサンドイッチ』(著:谷瑞恵)を読んだ感想
谷瑞恵さんの『めぐり逢いサンドイッチ』
今年は色んな料理が作れるようになりたいと思っていて、最近は食べ物・料理系の小説の開拓を始めています。
その中でパン・サンドイッチが好きなこともあって手に取った1冊です。
あらすじ
こんなお店が近くにあったらいいのに! 腹ぺこさん大集合、ほっこり癒やされる物語。
「サンドイッチになってると、なんだかわくわくするでしょう」
大阪の靱公園前にある「ピクニック・バスケット」は開店三年目を迎える手作りサンドイッチ店。
姉の笹子と妹の蕗子のふたりで切り盛りするこのお店には、個性豊かな人々が訪れる。
たまごサンド嫌いのOL、人気がない具材を探す女子高生、イケメンパン職人や職業不詳の常連客など。
具材と一緒に思い出をパンにはさんだ絶品サンドイッチが、あなたの心をおいしく癒します。
感想
サンドイッチが食べたくなる1冊
サンドイッチの素敵な魅力が発見できた
どの短編も心が温かくなり癒される
『めぐり逢いサンドイッチ』の舞台は大阪にあるサンドイッチ店『ピクニック・バスケット』
そのお店で販売されるサンドイッチによって、さまざまな物語が生まれます。
サンドイッチの素敵な魅力が発見できて、思わず食べたくなりました。
誰もが食べたことがある馴染み深い食べ物でも、パンに挟まれてサンドイッチになると、どこか懐かしさがあったり初めて食べたような新しさを感じる。
それを谷さんは「幼なじみとの再会」と表現しています。
まさにサンドイッチの表現に合っていると思いましたし、とても素敵な魅力があることに気付きました。
本作で出てくる卵焼き、コロッケ、ハムキャベツ、黄色いカレー。
文面を見ただけで懐かしく感じる方もいるのではないでしょうか。このような馴染み深い食べ物に対して、ほろ苦い思い出がある方もいると思います。それがサンドイッチによる新たな出会いによって、思い出に向き合えて前に進める。
また、笹子さんと蕗子さんのお客様とのやり取りを見て、サンドイッチは組み合わせによって人と人とをつなぎ合わせる魅力もあるんだなと思いました。
お店の雰囲気や登場人物も素敵。
店名の通り、ピクニックに行く時のようなワクワクした気分になりました。
姉妹である笹子さんと蕗子さんの絶妙なバランスが素敵なサンドイッチ店になっているのだと僕は思います(2人の過去についても読み進めると分かります)。また、小野寺さんのような物事をプラスに捉えられて想像力がある人って魅力的だなと感じました。
僕も思い出深い食べ物で、笹子さんにサンドイッチを作ってもらいたいなあなんて思いながら読んでました。
どの短編もふわふわのパンに挟まれたように心が温かくなり癒される話でした。
本作で特に印象的な話は「はんぶんこ」
はんぶんこの仕方も人それぞれだけど、繋がりを感じさせるのは確かですね。
ああサンドイッチが食べたくなってきた。さっそく僕も作ってみよう😊
印象的なフレーズ
パンにはさまれたものは、いつかどこかで食べたもの。それが不思議と目新しく、記憶よりもっとステキになって現れる。とびきりかっこよくなっていた幼なじみ、みたいな感じだろうか。
「よく知ってる料理だからこそ、サンドイッチになってると食べたくならない?知らない食べ物より、なんだかわくわくすると思うの。親しんだ食べ物が、とびきりよそ行きに、おしゃれしたように見えるでしょう?」
でも人生には、想像もしなかった落とし穴がある。ぬるく生きていると、考えてもいなかったことが起こったとき、どうしていいかわからない。そういうときに強いのは、きっと、突拍子もない夢を見られる人なのだろう。
「紙飛行機が好きな大人も、子供もおるけど、ふつうの大人もいてへんし、ふつうの子供もいてへん。僕は、好きなことを好きなようにしてるだけやねん」
「はんぶんこって、いい言葉よね。分け合うって、楽しそうだし、親しい人との間でしかできない、つながりを感じるっていうか」