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#25『麦本三歩の好きなもの 第二集』(著:住野よる)を読んだ感想
住野よるさんの『麦本三歩の好きなもの 第二集』
『麦本三歩の好きなもの 第一集』の続編にあたります。
第一集を読んでない方は、まずはそこから読むのが良いでしょう。
三歩がどんな人物なのかを知っておけば、より楽しめるからです。
あらすじ
新しい年になって、図書館勤めの麦本三歩にも色んな出会いが訪れた。真面目な後輩、謎めいたお隣さん、三歩に興味がなくもなさそうな合コン相手。そして、怖がりつつも慕ってきたひとりの先輩には「ある変化」が──!?マイペースな彼女の、あいかわらずだけどちょっとだけ新しい日々。気軽に読めてほんわか気分になれるシリーズ最新刊。
感想
何気ない日常が愛おしくなる1冊
所々で笑えたり、感動?したり力を抜いて読める
三歩が時折見せる鋭い感性には学ぶことも多い?
大学図書館の司書で働く麦本三歩の日常を描いた短編集。
第二集では、後輩ができたり合コンに行ったりと新たな出会いや出来事もいくつかあります。
それでも、三歩の天真爛漫で噛みまくる様子は相変わらず。
よくある二日酔いやTwitterでツイートするだけなど、本当に何気ない日常。
それが壮大な感じで描かれていて、所々で笑えたり共感できたりするんですよね。
(住野よるさんの表現力が凄い!)
ただ笑えるだけではありません。
終盤の話で、三歩が少し成長する姿に感動?しました。
その場面を読んで、自分なりのペースで頑張ればいいんだと思い、自然と力が抜ける感じがしました。
何気ない日常が愛おしくなり、大切にしようと思わせてくれる1冊です✨
僕は、三歩が時折見せる鋭い感性が発揮される瞬間が好きですね。
後輩や友人との接し方、隣人との関わり方、誠意についてetc…
学ぶことがあったり、ハッとさせられたりします。
特に、隣人との関わり方は「なるほど!」と思わず頷きました。
僕も同じく一人暮らしをしているので、三歩の考えを取り入れようと思います。
また、短編のタイトルはすべて「麦本三歩は○○が好き」となっているように、三歩には好きなものがたくさんあります。
この「好きなもの」って、特別な何かではなくて、実は日常の中の至るところにあるのかもと思いました。
本作で僕が好きな話は、「麦本三歩はプリンヘアが好き」「麦本三歩は女の子が好き」「麦本三歩は復讐ものが好き」です。
重くなく、軽すぎない。
エッセイにも似たような感じで読みやすい。
ちょっと疲れたな、と感じているときに読むと癒されることでしょう✨
最後に……
辻村深月さんが好きなのは沸いたし、双子の弟がいることにはびっくり!
続編もありそう🤔
印象的なフレーズ
明日は今日よりもちょっと頑張れたらいい、もし出来なかったら明後日でいいや。明々後日も恐らくまだ生きてるから大丈夫。
お隣さんは他人なのに三歩がここに住むことに文句を言わず、自らの生活を送ってくれている。
同時に自分はお隣さんである彼女の存在を許して、自らの生活を送っている。
そして互いが生きていることを知りながら、救わず、役に立たず、放っておいている。
なるほど、きっとそこに共犯関係がある。相互依存がある。この世界に存在することを、自分一人で抱え込まなくてもいいという安心がある。だって私のこと何も知らない他人が、生きてていいって思ってくれてるんだって、胸を張れる。
やってみればなんでもないこと、なんでこんなことを怖がっていたんだと思うことが世界に溢れている。
人と人が関わる時には、誰しもがどこかで持つベストな距離感への望みみたいなものがあって、それはほんの少しのきっかけで状況が良くなったり悪くなったりするものだけれど、家族相手だから無条件になくなるという性質のものじゃない。
「非常識な要求を飲み込むことは、丁寧な対応でもなんでもない」
「誠心誠意謝ることはもちろんしなくちゃいけないけど、媚びて許してもらおうとしちゃ駄目だ。それは、三歩自身もだし、他の図書館スタッフ全員の尊厳を傷つけることにもなるよ」