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#81『世にも奇妙な君物語』(著:朝井リョウ)を読んだ感想【読書日記】
朝井リョウさんの『世にも奇妙な君物語』
フジテレビ系列で放送されている『世にも奇妙な物語』のファンである朝井さんが、原作に採用されることを目標に執筆した作品です。
実際の放送と同じく、5編の物語となっています。
(実際にWOWOWでテレビドラマ化されました)
読んだきっかけ
夏といえばホラー。
先月は読んでいなかったこともあり、8月最初はホラー系を読もうと思っていました。その中で目に留まったのが、僕の好きな作家さんである朝井リョウさんの本作です。
このような方にオススメの本です
趣向が異なるホラー系の作品を読みたい
予想外の展開がある作品を読みたい
思わず笑えたり、痛快さがある作品を読みたい
あらすじ
異様な世界観。
複数の伏線。
先の読めない展開。
想像を超えた結末と、それに続く恐怖。
もしこれらが好物でしたら、これはあなたのための物語です。
待ち受ける「意外な真相」に、心の準備をお願いします。
各話読み味は異なりますが、決して最後まで気を抜かずに――。
では始めましょう。朝井版「世にも奇妙な物語」。
感想
「最後に何かある」と気を抜かずに読み進めていくと……
思わず笑えて考えさせられるという意味でも奇妙だった
「最後に何かある」と気を抜かずに読み進めていくと……。
怖さ、謎、痛快さ、そして笑い。短編それぞれで読み終わった時の感じ方が違う面白さがありました。
何よりも、第5話のボーナスステージ感がたまらなかったです。ここまで読んだご褒美のような。それでいて最終ステージのような感じもあります。本作の締めくくりにふさわしい話で、一番印象に残りました。
「笑えて考えさせられる」という意味でも奇妙な読書体験でした。
シェアハウス、コミュニケーションとは、子どもの教育、情報の伝え方と受け取り方。
各短編のテーマは現代にまつわるもので、読むとそれぞれのテーマに関する解像度が上がった感じがします。文章によって物事や出来事の解像度が上がるのは、僕が朝井さんの作品が好きな所の1つです。
そして、登場人物が言葉で物語を獲得していく「朝井節(?)」も健在でした。
印象的なフレーズ
最近の親は、子どもから様々な選択肢を奪う。残酷かもしれない童話の結末、気持ち悪いかもしれないカエルの表紙の自由帳。「かもしれない」を奪っていくことは、良くも悪くも、予想外の出来事が丸ごと奪われていくことに等しい。陥るかもしれなかったトラブルと同時に、拡がるかもしれなかった可能性も潰えていくのだ。自分が何を好きなのか、何を苦手だと思うのか、子どもが自分の頭で考える前に、親がありとあらゆる選択肢を奪っていってしまう。
「移動時間中にネットニュースを、っていう人たちの第一の目的は、ニュースを読むことじゃない。暇な時間をつぶすことよ」
「彼らは何かを知るためにニュースを読んでいるんじゃなくて、時間をつぶすためにニュースを読んでいるにすぎない。つまり、時間をつぶせる別のアイテムが現れた途端、取って代わられる」
脇役がいないと、主役は存在しないのだ。