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#49『ドミノin上海』(著:恩田陸)を読んだ感想【読書日記】
恩田陸さんの『ドミノin上海』
前作の『ドミノ』が面白くて、すぐにでも続編を読みたいと手に取った1冊。今回もドミノ倒しに見事にハマりました。
※『ドミノ』を読んだ感想は以下になります
このような方にオススメの本です
前作の『ドミノ』を読んで面白かった
思わず笑えるコメディ系の作品を読みたい
力を抜いて気軽に読みたい
パンダが好き
あらすじ
「『蝙蝠』が上海に入った」。豫園からほど近い路地裏の骨董品店に緊張が走った。門外不出のお宝が闇のルートで輸入されたのだ。虎視眈々と狙う店主だが、なぜか問題の品は、人気急騰中のホテルの厨房に流れ着いていた……。かつて東京駅で数奇な運命を共にした面々に、一癖も二癖もある人物たち、さらには動物園脱出を目論むパンダも加わって、再び運命のドミノが倒れ始める! 予測不可能、爆笑必至のパニックコメディの金字塔!!
感想
前作よりもさらにカオスでシュールだと思った
とにかく笑いをこらえるのが大変
夢中になって読めて、気分も爽快になる?
『ドミノ』の続編。今回の舞台は中国の中心都市である上海。ある「宝」が上海に輸入されますが、なぜか「宝」はホテルに流れ着きます。宝を狙う人、旅行中の人、映画関係者、パンダなど、25人と3匹の登場人物がピースの一片となり、タイトルの通りドミノ倒しのような展開を繰り広げます。
本作単体でも読めなくはないですが、前作からの登場人物もいるため(しかも主要?な人物)、前作を読めばより楽しめるでしょう。
前作よりもさらにカオスでシュールだと思いました。
いきなりイグアナのダリオが調理されるインパクトのあるスタート。ダリオはこれでお役御免と思いきや、ここから思わずツッコミたくなるまさかの展開でした。
25人と3匹の登場人物はそれぞれ目的が異なっていて、偶然でもなければ会うことはない。それが、何かに導かれたかのように偶然が重なり一堂に会する。でも、それぞれの事情は知らないから、話も心理状態も噛み合わない。偶然の重なりで生まれるカオスかつシュールな展開に、とにかく笑いをこらえるのが大変でした。本作は前作よりも約200ページ多く、笑えるポイントも増えています。さらにラストは少し感動?しました(色んな視点からのラストがあるのも面白さを増しているポイントです)
本作も濃いキャラが揃い踏み!
特に印象に残ったのは、パンダの厳厳(ガンガン)、イグアナのダリオ、前作でも登場した田上優子の3人(いや1人と2匹?)。表紙のような感じで本作は厳厳の存在感がとにかく強かったです。どこか憎めないキャラも良い。厳厳の影響?で最近パンダの動画を見るのにハマっています。そして優子さん、さらにキャラが強烈になってるし凄く強い…。
ドミノシリーズを読むと考えるのが、偶然と必然について。
読んでいるうちにだんだんと「何かが起こりそう。やっぱり起こったー!」となりますが、そう思う時点でもう必然なのかもしれません。偶然な出来事を強引に結びつけてるだけと思うかもしれませんが、これが病みつきになるんですよね。夢中になって読めて、気分も爽快になります。
誰かが違う行動をすれば、その時点でドミノ倒しがストップする。それを考えると凄いとの感情もわいてきました。一堂に会した時は、巨大なドミノの絵が浮かぶ感じでしょうか。まさに芸術作品です。
見事にドミノファンの1人になった僕。ドミノ倒しの次なる舞台はどこか?今から待ち遠しいですね。
印象的なフレーズ
人生における偶然は、必然である――。
振り返ってみるに、たまたまこの日、厳厳にとって幾つかの幸運が奇跡的に重なった。言い換えると、動物園側、特に魏英徳にとってはとんでもない不運が重なったわけであるが、えてして不幸な事故というのは、まさかというような偶然がドミノ倒しのように連鎖していった結果、起きてしまうものなのだ。
八重洲支社のドン、北条和美。「森川くん、期待してるよ」
八重洲支社の裏番、加藤えり子。「森川くん、前も同じ間違いしたよね」
八重洲支社のヒットマン、田上優子。「森川くん、一緒に夕日に向かって走ろう!」
ダリオは「惜しい」と思った。
ここにご主人がいれば、必ずやこのシーンを次の映画に取り入れたであろうに。
「――いったい何がどうなってるんだ、青龍飯店は」