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#74『Another side of 辻村深月』(著:辻村深月)を読んだ感想【読書日記】

辻村深月さんの『Another side of 辻村深月』

数々の作品を生み出す作家・辻村深月さん。執筆で考えていること、好きなものなどの辻村さんの裏側に迫った1冊です。『この夏の星を見る』のスピンオフも掲載されています。


読んだきっかけ

本作が3月に発売されたことは知っていましたが、もっと後になってから読もうと思っていました。
しかし、『この夏の星を見る』を読んだことでその考えが変わります。今年読んだ本の中で一番感動したことで、今すぐにでもスピンオフを読みたいと思い購入しました。

このような方にオススメの本です

  • 辻村深月さんのファン

  • 『この夏の星を見る』のスピンオフが気になる

  • 作家、漫画家など、クリエイターが考えていることが気になる

あらすじ

書き下ろし短編、宮部みゆき・伊坂幸太郎との特別対談、全作品解説インタビュー――唯一無二の小説を生み出し続ける辻村深月の裏側を徹底解剖。ファン必読の1冊、誕生!

【内容紹介】
<新規収録>
書下ろし短編小説「薄明の流れ星」
書籍未収録短編「影踏みの記憶」
著者による全作品解説インタビュー
特別対談 宮部みゆき 伊坂幸太郎
新刊『この夏の星を見る』(2023年6月刊行予定)紹介書評 吉田大助
エッセイ 浅倉秋成 一穂ミチ 呉勝浩 白尾悠 武田綾乃 成井豊 吉野耕平
論考 朝宮運河 千街晶之 東畑開人
トリビュートイラスト 雁須磨子 木村風太 山田章博ほか

<再録>
対談 朝井リョウ あずまきよひこ 幾原邦彦 羽海野チカ 大島てる 大槻ケンヂ 中村義洋 藤田貴大 藤巻亮太 松坂桃李 松本理恵
師弟問答with綾辻行人
辻村深月の100問100答
大山のぶ代さんにお会いした日(文:辻村深月)
文庫解説『あとは野となれ大和撫子』『田舎の紳士服店のモデルの妻』『ののはな通信』『ψの悲劇』
etc

KADOKAWAオフィシャルサイト

感想

  • 辻村さんの魅力がぎっしり詰まっていて、色んな角度から分かる1冊


名立たる作家さんとの対談、新刊のスピンオフ、本人による各作品の解説など……。
辻村さんの魅力がぎっしり詰まっていて、色んな角度から分かる1冊でした。
僕が辻村先生の作品が好きになった理由の1つに繊細な心理描写があります。対談に登場した方も、その点を語る方が多い印象がありました。
また、辻村さんが色んな方から愛され、色んなものを愛しているのが伝わってきます。読んでいる僕も幸せな気分になりました。
辻村さんはもちろん、本作に登場した作家さんの作品も気になりました。


特に印象的な対談は朝井さん、伊坂さん、大槻ケンヂさん。朝井さんとの対談テーマは言葉に関してだったこともあり、僕にとってドンピシャでした。伊坂さんの作品は未読なので早く読みたいと思っています。

『この夏の星を見る』のスピンオフは前日談ですが、本編を読んだ後からでも楽しめました。読めば、綿引先生がさらに好きになるかもしれません。


未読作品で気になるものもいくつかありました。特に気になったのは『闇祓』『傲慢と善良』です。
各作品の解説に関しては、未読作品は読了後までのお楽しみにしました。その度に何回も読み返す本になると思います。

そして、辻村さんの作品を全部読みたい気持ちがますます強くなりました。
現在は、40作品中17作品(単著のみ)。
全作品を読了した時が、本作の本当の意味での読了になるのかもしれません。

印象的なフレーズ

Q.小説作法において、「これだけはしないぞ!」と決めていることはありますか?

A.作者の都合で登場人物を動かしたくないなー、と思います。登場人物それぞれに事情があるはずなので、たとえ悪人に見えたとしても彼らひとりひとりの「正義」を大事にしてあげたいです。

『Another side of 辻村深月』
西加奈子さんからの10問

人は皆、"物語を自分でまとう"ということをしなければやっていけないと思うんです。
自分はどういう人間で、何が好きで何がイヤだと思うのか。そういった物語が何も獲得できていないと、例えば人からパワハラみたいなことをされても、モヤッとするだけで怒ることすらできなかったりする。
自分を守っていくには自分の中に言葉を育てておくことが必要で、そのためには日頃からいろんな言葉に触れていなければ、言葉自体が入ってこないし、言葉という素材がなければ物語も作れない。

『Another side of 辻村深月』
朝井リョウ「物語を描くための、言葉と表現」

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