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ノンデザイナーだからこそ、読むべき本だ。〜「勝てるデザイン」を読んで
元任天堂デザイナーの前田高志さんの処女作、「勝てるデザイン」。普段からお世話になっているにもかかわらず、購入して読み終わるまで1ヶ月かかってしまった。
ようやく読み終えたので、感想をかいてみることにした。気になった箇所を抜粋して書いてみた。
2「その企画で何人が幸せにできるか」
デザインする時はコンセプトや狙いを企画する段階で、幸せになる人が多くなるにはどうすればいいかを考える
いい企画は、幸せになる人が多い。お願いする人にとって楽しいかどうか?
相手のことや見る人のことを考える視点が必要である。デザインだけに共通する話ではない。利己的にならず、相手目線になることがすごく大切である。
これは、デザインだけでなく仕事に通じる内容なのでデザイナーではない人にもすごく参考になる章だった。
04デザインの必殺技を増やせ
極めるということは、選り好みせずに端から端までそれに向き合うこと
「何かを極めたい時に、良いものだけを吸収したいという人からは、情熱を感じません」。この一行は強烈だった。読んだ本の中でのおすすめをきく若い人たちに、興味があるなら全て目を通すだろう、という本音を抱いていた前田さん。良い本悪い本などは、他人の価値観や基準に頼るのではなく、自分の価値観を作っていくことでしか本物にはなれない。そのためには、世の中にあるものは全て吸収する勢いでいく。
このような努力をしているからこそ、今の前田さんが形成されているのだろう。自分が学びたい領域についてはとことん突き詰める。もちろん、専門外でない内容も知ることで仕事に生かすことができると思う。まずはインプットの姿勢を怠らないことが鮮明に残っている。
11あなたが一番嫌いな人が作ったデザインとして見よ
「手放している」から気付けることがある
デザインは一般人が見るものだから、センスに自信がない人が見て良いものは良いものである。反対に、自分が作ったデザインには愛着が沸いてしまうからこそ、嫌いな人が作ったデザインとしてみる。SNSなどで曝け出すことで、自分の手元から手放すことで気づくことがある。今私がこうやって書いているnoteも客観的な視点を意識して、読む人のことを意識しなければならないと感じた。
16裏側にこそ勝利がある
デザインの質の良さは量の中からしか生まれない
センスやアイデアは不確かであり、物量や熱意の方が評価しやすい。量があるからこそ熱意を感じるし、多くの可能性を持っている。また、量が沢山あっても、進化しなければいけないという箇所は刺さるものがある。
今毎日noteを書いているが、自分が進化するためにどうすれば良いかを考えなくてはならないと痛感している。今はただ毎日自分の思いをアウトプットするだけで精一杯だが、量を積み重ねることによって可能性や希望が見えてくる。少しずつ書く内容を絞ってみたり、読み手を意識して書けるように意識していきたい。
25うまくいっている時こそ次を考えろ
自問自答し続けるだけでデザインは見違えるように良くなる
考えることをやめないことは誰にでもできる
提出した後も考えることをやめない。「本当にこれでよかったんだろうか」と考える姿勢が大切である。
現在THE CREATIVE ACADEMYで毎回課題を提出して、順位がつけられる。提出をして次の週までの間、あまり考えることができていない気がする。これは反省である。提出した内容よりもっと良いものが考えられないか、常に向上し続ける姿勢が大切だ。これもデザイン以外にも共通することだろう。
27フィーの理想は「100万円以上か0円」
「知ってもらう」ということは、ある意味お金よりも価値が高い
お金をもらうよりも価値のある仕事がある。その人と関係を構築することができたり、実績になったり、その次につながることができる。
前田デザイン室といったコミュニティも、仕事ではできない経験・実績になり、自分を認知してもらうきっかけになる。お金を貰わないからこそできる挑戦があるのかもしれない。前田デザイン室に入ったことで、私も仕事では挑戦できないことにトライし、デザインの世界について少しは詳しくなることができたのかもしれない。
41デザインは、デザイナーだけのものではない
「可能性や選択肢を増やし、その中から最適なものを選び取る」という行為の繰り返しによって成り立っている
人間は皆、生きている中でデザインをしている。部屋のインテリアも、毎日の服装も、仕事の資料も。デザインはデザイナーのものではないのだ。
この章を最後に持ってきているあたり、前田さんがデザインをノンデザイナーに広めていきたいという思いを強く持ってこの本を広めようとしているのだと感じた。
デザイン、と聞くとかなり高尚的なものに感じてしまうことも多い。前田さんは「デザイナーと名乗ると、センスいいんですねとかよく言われるけどそういうことじゃない」とよくおっしゃっているイメージがある。
以前、発売前に前田さんがコッピーTV工場の方の提案で「勝てるコピー」開催された。私も参加し、何個かコピーを記載した。その中で、前田さんが採用して投稿していただいたコピーがこちらである。
“「センスがない」を言い訳にする、あなたに贈りたい。”
— 前田高志『勝てるデザイン』(幻冬舎)3刷 (@DESIGN_NASU) March 13, 2021
大隅絢加(@Kuma76dg)#前田デザイン室#勝てるデザインコピー大賞#コピー募集中#勝てるデザイン pic.twitter.com/5vN6ydneFc
「センスがない」を言い訳にする、あなたに贈りたい。
「お、これが選ばれたんだ」と感じた。
書いた意図は、「勝てるデザインなんて、センスないから分からない」という考えから手に取らない人を減らそうという思いからである。先ほど書いた通り、デザイナー=センスある、といった風潮から自分にセンスがないと思いデザインを敬遠する人は多い。前々から、前田さんはデザインに縁がないと思っている人へデザインを広げていきたいと述べていた。発売日の前夜祭でもその言葉が印象的だった。
デザインは、デザイナーだけの武器ではない。勝てるデザインを読んでもらい、デザイナーの考え方をデザインじゃないところでも生かせるよ、ということを伝えたかったのだと思っている。
もちろん、デザイナーの方がより勉強になる部分も多いかもしれないが、かなり丁寧に訴えかける文章は、ノンデザイナーに向けても伝わるようにしているのかもしれないと感じた。本の内容だけでなく、巻末のワークを通しても、デザイナーの思考回路を覗くことができるのである。ノンデザイナーがデザインという武器を持つきっかけになるのではないだろうか。
これは、「令和版ノンデザイナーズ・デザインブック」になるかもしれない。勝てるワークを通じて、私もデザイナーに近づけるかもしれないとワクワクしている。デザイナーのマインドを持つ人が世の中に広がることで、もっと素敵な社会に変わるのかもしれない。
初めてのサイン&似顔絵本を添えて