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弱点を強みに変える思考法

以前、高校受験を控えた中学3年生の女子生徒が、「私には長所も強みもない」と悩んでいました。さらに、学校に十分通えていないことも自己評価を下げる要因となり、進学を希望している地元の高校の推薦入試に自信を持って挑めない様子でした。

そこで私は、次のように伝えました。
「学校に通えなかった期間をどう過ごしたかは、とても大切なポイントだよ。その経験を活かせば、君にしか書けない志望理由を作ることができるはずだよ。たとえば、自宅での学習や趣味に打ち込んだ経験は、君の『自ら考え、行動する力』をアピールできる立派な強みになるんだ。」

彼女は最初、自分の弱みだと思っていた部分を新しい視点で捉えることに戸惑いもありました。しかし、「学校に行けなかった時期に、趣味のイラストを描き続け、SNSで多くの人に見てもらった経験」を志望理由に活かすことを決意しました。この経験は「自分を表現する力」と「困難の中で自分を成長させる力」として評価されるポイントです。彼女は志望校に入学し、卒業後は、芸術大学にてデザインを学んでいます。

弱点は視点を変えれば強みに変わる

このように、自分の弱みは見方を変えることで強みに変わる場合があります。誰しも弱さを持っていますが、それを強みに変換できる人こそが「本当の強さ」を持っていると言えます。

例えば、「人前で話すのが苦手」という弱みを持つ人は、「相手の話を丁寧に聞き、慎重に考えた上で発言できる」という強みに言い換えることができます。また、「決断が遅い」という弱みを抱える人は、「物事を深く分析してから行動できる」という強みに変えることができます。

心理学が示す「リフレーミング」の効果

では、どうすれば弱みを強みに変えられるのでしょうか?そのために役立つ方法として、心理学で用いられる「リフレーミング」という考え方があります。リフレーミングとは、否定的な捉え方を肯定的なものに言い換える技法のことです。

この方法は、アメリカの心理学者マーティン・セリグマン博士が提唱する「ポジティブ心理学」にも基づいています。セリグマン博士の研究では、物事を前向きに捉えることで、ストレスへの対処力が向上し、学業や仕事においても成果が上がることが示されています。また、リフレーミングは、自己肯定感を高める効果があるとされ、特に思春期の若者に有効だとされています。

具体的な手法

1. ネガティブな表現をポジティブに変える
• 「自分にはコミュニケーション力がない」
 →「一人で深く考える力がある」
• 「失敗が多い」
 →「挑戦する意欲がある」

2. 過去の経験を掘り下げてみる

自分の「弱み」と感じている部分に関連する過去の経験を振り返り、その中で得たものを探します。たとえば、「部活動で失敗続きだった」という経験も、「諦めずに取り組んだ結果、基礎的なスキルが向上した」という成功の裏付けになります。

弱みを成長の原動力に

弱みは、見方を変えることで自分にしかない「強み」に変わります。リフレーミングを活用して、まずは自分の弱点を受け入れ、そこに隠れた可能性を見つけましょう。心理学者アルフレッド・アドラーも「劣等感を克服することが、人生の大きな成長につながる」と述べています。

だからこそ、弱さを嘆くのではなく、強みとして「どのように活かすか」考える習慣を身につけることが大切です。きっと、あなたの中にも、輝く強みが見つかるはずです。

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