【日記#005】きょうは敬体で書きたい気分
2023-02-26
さて、前回のポメラ日記で「小さく生きる」と書いた直後のことです。
夜に散歩がてらスーパーに買い物に出て、帰ってきてからどうにも気分がおかしい。
おかしいといっても、体調が悪いとか気分が優れないのとは逆で、なんだか元気が出てきたんです。
「もしやこれが”うつ抜け”だろうか」などと思うほどに、ネガティブに捉えていた関心事が、割とどうでもよくなるというか、急に、「まぁいっか。なんとかなるっしょ」とでも言いたくなるというか。
きっかけがスーパーまでの散歩だったのかはわからないにしろ、おそらく伏線だろうと思えるのは、1冊の本。
おとといから昨日にかけて、旅をしつつ、食事をとりつつ、ちまちまと読んでいたものです。
田中慎弥さんの『孤独論』。
書いてあることはシンプルで、主に以下の3点に収斂するのだと思います。
やらされている「奴隷」状態から逃げ出すこと
自分の生きたい方向性を見つけ、決めた以上は腹を括って食らいつくこと
何者かであるために、必死になること
こう要約してしまっては、そこらのビジネス書と変わりないじゃないか、なんて言われるかもしれません。
でも、読めばわかる。説得力がちがう。
それはきっと著者の田中氏自身が、こうしたアドバイスを書きながらも、いまなお必死で小説家という肩書きに食らいついているからなのだと思います。
「自分が自分である続けられるのが小説家だ」と決めた田中氏が、小説家であり続けるために腹を括って必死に書き続ける。
ただ単に「頑張る」だけではなく、自分が自分であることへの覚悟というか、そういう凄味を感じたのです。文章は丁寧なのに。
それと同時に、タイトルにもなっている「孤独」であることの重要さについても、全編を通して語られ続けます。
いままさに独りでいることを気に病んでいた自分にとって、どれだけの救いになったことか!
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『孤独論』を読んでから、独りでいることに、そして、無為に思える時間を過ごすことに、ちょっとした誇りすら感じるようになっている自分がいます。
別に、昨日までとやっていることは何ら変わりないのですが、ちょっと見え方が変わったとでもいうのでしょうか。
案外と、自分は自分というものを真っ当にやり遂げようとしているんじゃないかと、そんな気持ちになったのでした。
だから、きょうも自分であり続けるために、自分のやりたいことをやってみようと思います。
それが直接仕事につながるかはわからない。
将来の自分を支える武器となるかもわからない。
でも、きょうの自分が自分らしく生きるために必要なことなんだと胸を張って、読書をしたり散歩をしたりといった行動を、誇らしげに全うしてみたいと思います。
……
「真っ当に、全う」
いや、なんでもないです。