働きがいスコアの高いチームにきいた「マネジメント術」
こんにちは! SmartHR社内広報の山王(@chisa)です。
SmartHRは従業員数が1,000人を超え、組織規模が急拡大しています。まだまだ改善と挑戦を重ねながら組織作りに取り組んでいる最中で、いかに変化に適応しながら従業員一人ひとりの「働きがい」を高めていけるのか、試行錯誤を続けています。
その取り組みの1つとして、今後の組織づくりに活用できるヒントを探すため、マネジメント視点で「働きがい」を高めるためのヒントを社内から探してみました。
方法:社内でも働きがいのスコアが高かったチームのマネジメントの方々に、「働きがいに繋がる取り組みや工夫」についてヒアリング。スコアは2024年5月、「働きがい認定企業」に選出いただいたGreat Place To Work® Instituteの調査を参考にしています。
関連プレスリリース:SmartHR、GPTW Japanの「働きがい認定企業」に選出
「信頼関係」は能力を発揮するための土台
信頼関係を築くことは、メンバーが安心して発言し失敗を恐れずに挑戦できる心理的安全性に繋がります。個人の成長や能力発揮の土台となり、意見やアイデアを出しやすくなるだけではなく、メンバー同士の互助や協働による目標達成にも繋がります。
◆ コミュニケーションの場を設計する
業務:1on1、スキップレベル1on1(階層を飛ばしたメンバーと行う1on1)、ユニット定例、部署全体のチーフ定例、部署の全体定例、目標共有会、合宿など
業務外:SlackやZoomなどを活用した日常的な雑談の場、ユニットまたは近しいユニット同士の交流の場、タイプ別診断などを活用した相互理解促進の場など
◆ ジョブルーティーンを取り入れる
メンバー同士の相互理解を促し、各々が担当以外の業務を自分ごと化できるようにする。属人化予防に加え、ユニット内での多角的な視点によるコラボレーションを促進する
◆ 日頃からメンバー全員へ「わからないことは誰にでも気軽に聞いてOK」と伝え、相談しやすい雰囲気を醸成する
◆ フィードバックは、相互の認識を確認しギャップを埋めながら、支援までセットで行う。また、可能な限りリアルタイムに伝える
「誇り」は挑戦意欲や自己研鑽に繋がるエネルギー
一人ひとりが「自分の仕事には価値がある」と認識し、誇りを持って業務に取り組めるようにすることは、各々の自信を引き出し、業務への積極性や新たな挑戦への意欲を高めます。誇りを持っているメンバーは自己研鑽にも前向きになるため、より創造性が発揮しやすくなり、組織のイノベーションに繋がります。
◆ 定期的に部署、ユニット、個人に対して「必要性、重要性、期待」を伝える
部署、ユニットの責任範囲を定期的にリマインドし「自分たちの領域」という良い意味でのプライドや責任感を醸成する
◆ 感謝、称賛ポイントを日常的に見つけ、しっかり伝える
メンバーの日々の良い動きへの感謝や称賛、施策に対する反響を本人、チーム内へ積極的に伝える
メンバー同士が相互の良いアクションに気づき、伝え合える場を設ける
◆ 自部署に閉じないコミュニケーション機会を設ける
他部署と定期的なコミュニケーション機会を設け、メンバーが自分たちの役割やその意義を再認識できるようにする(例:ユーザーと対峙しているメンバーが社内へ声を届けられる場、プロダクトサイドが作ったものに対する声や反響に触れられる場、市場理解を深めることで自社プロダクトの優位性を学べる場の設定など)
◆ 誰もが教え、学ぶ立場になる機会を設ける
周囲が「この人は何に長けているのか」が分かる状態を作り、それぞれの貢献を可視化する(各自が知識や知見を共有しあえる場づくりや、専門的な情報に関するキャッチアップ担当を設定し日々周囲へ貢献する情報発信を義務付けるなど)
「得た学びは必ず他者に還元する」という価値観を日頃からマネジメント/メンバーへ浸透する
「公平さ」は企業への愛着のよりどころ
「尊重されている、平等に扱われている」と公平性を感じられるようにすることは、メンバーの心理的安全性を確保し、意欲を引き出すことに繋がります。公平性は企業への愛着の深まりにも繋がり、組織や業務へのコミットメント向上、離職率の低下などにも影響します。
◆ 意思決定に関して、背景や必要性、妥当性を丁寧にしっかり伝える
全社キックオフ後、部署のキックオフなどで自部署の方針やミッションについてしっかり説明する(各組織が担う役割は何なのか、なぜやる必要があり、それはどのくらい重要なのかなど、今回目指す目標の必要性や妥当性をしっかり伝える)
目標に対し、全員が腹落ちできるまで1on1などで伝え、納得感を確認する。「これをやって/作って」と一方的に振らず、議論の余地を持たせる
◆ メンバーからマネジメント層に対するフィードバックを定期的に求め、レポートラインの改善を図る
1on1、スキップレベル1on1(階層を飛ばしたメンバーと行う1on1)、部署キックオフの事後アンケートなどの機会を活用する。声を上げてくれたメンバーが不安にならないように、状況改善に向けたアクションの進捗をしっかり伝える
◆ 目標設定では、メンバーが納得するまで伴走し、マネージャー、チーフ、メンバー全員で確認し期待値の調整を行う。また、常に状況把握に努め必要に応じて柔軟に目標の見直しを行う
メンバーが成果を出しやすいように、基準(定量目標)をしっかり定める。結果は等しく求めるが、進行方法はメンバーが得意/不得意を含めて柔軟に選べる余地をもたせる
期中は定期的な1on1やスキップレベル1on1(階層を飛ばしたメンバーと行う1on1)を通じて状況を把握し、必要に応じて柔軟に目標を見直す
◆ 評価は事前にマネジメント全員で評価者による基準ズレが出ていないか認識のすり合わせを行う。また、フィードバック後にはメンバーの納得感を確認し、必要に応じてフォローを行う
等級要件や評価基準を設け、評価者による基準ズレを防ぐ
評価はあくまで成果でみる。サポートプロセスは含めない
評価フィードバック後は評価者の上の階層にあたるマネジメントと被評価者で階層を飛ばした1on1を実施し、メンバーの納得感を確認する。メンバーが評価に対し納得感を持てていない場合は評価者とメンバーの1on1を追加で実施。必要に応じて評価者のフィードバック方法を見直す
「一体感」が活発な議論とアイデア創出の土壌を育む
組織に一体感が生まれると、メンバー同士の尊重と積極的なコミュニケーションが促進され、活発な議論とアイデア創出の土壌が育まれます。また、困難が生じてもチームで支え合い乗り越えようとする意識が生まれることから組織基盤が強化されます。
◆ 期初にミッションに紐づくワークショップと懇親会を実施する
マネジメントやメンバーの多角的な目線で議論する場を設け、よりよい着地点をみつけられるようにする。全員の目線を合わせることでサポートし合える環境をつくる
オフラインコミュニケーションを取ることで横の繋がりをつくる
◆ 評価にチーム目標を盛り込み、メンバーがチーム目線を持ちながら日々の業務に向き合えるようにする
◆ ユニットを横断する仕組みをつくる
マネジメントを担うメンバーには、視座を上げ、視野を広げることを目的に部署を横断したプロジェクトを担ってもらう
ユニット単独ではなく、ユニットを2つ組み合わせた「ユニッツ」での業務や交流機会を設ける(日々の業務スレ、雑談タイムなど)
同職種で複数のユニットが存在する組織の場合は、定期的にメンバーを入れ替えることで部内の横の認知や繋がりが希薄にならないようにする
◆ マネージャー、チーフを「マネジメントチーム」として捉え、マネジメント同士が支え合えるようにする
マネジメントに持っていてほしい価値観(育成や他者貢献意識など)や求める動きを明確にし、マッチした人をマネジメントラインに登用する
マネジメントには管掌ユニット以外のメンバーにも関心を持ち、必要に応じて育成をサポートするように促す
働きがいを高めるコミュニケーションの場の設計例
働きがいを高めるために必要な「日々のコミュニケーションの場」として、会議体を工夫している部署もありました。
▼人事開発本部 マネジメント育成部の例
「スクラムのフレームワーク(少人数のチームに分かれ短期間のサイクルをくり返し行うフレームワークのこと)」をベースに、1週間の会議体を設計。水曜日の「プランニング会」を起点として、ユニットの1週間が始まるようにしている。
GPTWによる「働きがい認定企業」と関連して、SmartHR社員が感じている「働きがい」や業務のパフォーマンスに繋がる「働きやすさ」についてより具体的な実情を探るべく実施した従業員アンケート調査結果も公開しています。