日曜日の本棚#34『ソシュールと言語学』町田健(講談社現代新書)【言語分析と構造主義の原点を学ぶ】
毎週日曜日は、読書感想をUPしています。
前回はこちら。
今回は、構造主義の生みの親の一人、ソシュールとその後の言語学の変遷についての本です。構造主義の端緒を開いたソシュールの業績とその後の言語学の発展を学ぶことができる本です。
筆者の言葉(講談社HPより)
深く考えてみるまでもなく、音声と概念とはまったく性質が違うものです。音声は波ですから見たり触ったりすることはできないにしても、とにかく物理的な実体であるのに対し、概念は決して物理的な実体とは言えません。それなのに、私たち人間がコトバを使う時には、その似ても似つかない2つのものを対応させています。しかも、その対応のさせ方は、同じ言語を使う人々であればまったく同じなのです。もちろんだからこそコトバを使って意味の伝達ができるようになっているのですが、これほど性質の異なる2つの要素を、同じ言語を使う人々がどうして正しく結びつけることができるのかは、考えてみれば不思議なことです
所感
◆ソシュールから出発する言語学の発展を理解する
本書は、言語学の発展ベースにした本です。ソシュールが構造主義に与えた影響については、そこまで詳しくはページは割かれていません。その分、言語学の歴史にソシュールが与えた影響については、理解しやすい内容になっているのではと思います。
ヤコブソン(ヤーコブソン)やイェルムスレウの果たした役割の重要性を理解できたように思います。
初版は2004年なので、Amazonのコメントにありましたが、最新の言語学はもっと進んでいるようですね。
ただ、そこまで言語学に強い興味のない私のような読者には、十分の内容だったかなと感じています。
◆予習がおすすめ
ソシュールを理解するには、多くのキーワードがあるので、それはあらかじめ知っておくといいのかなと思います。
・ラングとパロール、ランガージュ
・共時態と通時態
・音素
・恣意性
については、いろんな動画が出ていますので、まずそれを視聴してから読むと理解が進むと思います。
本書を読んで理解するよりも、効率的な読書ができるのではと思います。
その点では、初心者にはフレンドリーではないのかなと感じます。
なので、ヤコブソン(ヤーコブソン)が出てきたときは、寄り道して、彼の業績を学んで戻ってきました。
その点では、本書のような理解のハードルが高めの本を理解する手段が見つかる時代でもあるなと感じています。
難解とまでは言えませんが、スラスラと頭に入ってくる本ではいので、固くなったおじさんの頭をほぐしてくれる本でもあったのかなと思います(^^)