押入れおばけ
押し入れおばけ
昔むかしと言いますか、そこまで昔の話でもありません。
あるところに押し入れがありました。夜中に寝ていると何やら聞こえてきます。おばけでしょうか。
むくっと起きて 近づきます。
「ひとつぶ…ふたつぶ…」
なんかものを数えています。つぶ?ぶどうでしょうか。おいしそう。気になって聞いていました。
「ななつぶ、はっつぶ、きゅうつぶ…」
そこでいつも決まって次にこう言うのです。
「ない…!」
ガラッと扉を開けてやりました。
「なにしているの?」
「ないのぉ~」
「何が?」
「梅干が。」
「梅干?」
「一粒、足らないの」
「そのモグモグしているお口はなぁに?」
「・・・」
こっくりさん、こっくりさん。
あなたは今日もおかしな夢みて
船を漕ぐ。
おしまい。
戯曲「クローゼット モンスターより」
原案:クダラナイコトガスキー
日本語訳:柑咲
協力:小林栄一