似てるけど違うものをアートする。(ベッヒャー夫妻のタイポロジー)
Similarity & Difference
仕事をしてると、いろんな問題に対処したり、いろんな意見をまとめたりしなくてはならない時ってありますよね。
そんな時に気が付くのですが、自分には ”分類癖” があるようなのです。
いろんなことが、うまく片付けかない時は、少し大きな視点で考えて、大まかに分類してから、個別の事を考えていくみたいな感じです。
例えば、散らかった部屋を掃除するときに、まず、捨てるものと整理するものに分けて、さらに、整理するものについては、衣類や雑誌、生活雑貨等にグループ分けしていくみたいな感じかな...
掃除で考えると当たり前なんですが、頭の中でも似たような作業をするのが好きなんですよね。
いろんなことのカテゴリーにまとめられてると、ひとつひとつの違いがあってもスッキリした感じになるのが心地よいのです。
理科室にあった石の標本なんかも、ひとつひとつの色や形、質感は違っていても、「石」というカテゴリーで並べていくと、とってもきれいですよね。
頭の中で分類するときも、どこで分類の線を引くのかがポイントになるのですが、「石の標本」みたいに、眺めてみてスッキリしてるか、キレイかどうかが大切なことなんだと思います。
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そういえば、たしかに、私は「石の標本」とか大好きなんですよね。
昔からそういうとこがあったのかも...って感じです。うんうん。
大学時代にも大好きなアーティストの方がいたのですが、今、考えてみれば、彼らの作品が、自分のこの ”分類癖” の部分に響いてたんだと思います。
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そのアーティストさんは、ベルント・ベッヒャーとヒラ・ベッヒャーというドイツの写真家夫妻です。
すでに二人とも故人なんですが、この二人の写真作品が、ほんと好きだったんですよね。
1970年に発表された二人の作品集の名前が
『匿名的彫刻――工業的建築物のタイポロジー』
被写体は、給水塔、溶鉱炉、サイロなどの工業的建築物ばかりなのですが、それをタイポロジー(類型学)的に分類し配置した作品になっているのです。
こんな感じの作品なんですが、とても面白いと思いませんか?
同じフレームに収められた数々の工業建築物を、給水塔でまとめて配置しているだけの作品なのですが、ひとつひとつの給水塔は違った形をしていても、ひとつ視野を広げると"給水塔"という機能でまとまりを感じさせてくれるのです。
そんな様子が、とてもクールでカッコよく感じるんですよね。
他の作品もこんな感じです。
「タイポロジー(類型学)」という副題がつけているだけあって、そこにはアートとしての「類似性と相違性」の追求がテーマになっているのです。
展覧会では、1枚1枚がパネルになって、壁一面に配置されてるのですが、それがまた圧巻なのです。
ただ、鑑賞する方としては、どこをどのように観ればいいのか悩むんですよね~。
1枚1枚、相違を観るべきなのか、それとも総体として観ればいいのか...
展示室では、近づいたり、離れたりと、フラフラしてる人も多いので、きっと、皆さん悩んでるんでしょうね。
もう、新たな作品を観ることはできませんが、その記録は作品集としてリリースされていますので、私と同じような傾向がある方にはお勧めです。
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(蛇足)
”note” にも ”マガジン" 機能があって、自分の記事を分類することができますよね。
自分の記事を分類したりするのは楽しみのひとつなんですが、最近は記事が増えてきて、マガジンもいっぱいいっぱいだったりするのが悩みなのです。
もっと細かく分類したい!って欲求と
マガジンが増えすぎたら訳わかんなくなるんじゃないかという心配
その二つの感情がせめぎ合うんですよね~。
また、自分の記事の中には、「映画のテーマ音楽」みたいに、「映画」関係に入れるべきか、それとも「音楽」関係か、と、分類に悩むような記事もあって、それも悩み処なのです。(←小さい悩みだな、おい!w)
今のところ、マガジンは細分化せず、自分の記事一覧ページでの整理に終始してるとこなんですが、いずれ、気持ちが変わるかもしれません。
まあ、そういう小さな楽しみを与えてくれるのが note なんですよね....
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